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MLB

「史上最も成功を収めたGM」セオ・エプスティーンの次の仕事は合衆国大統領!?

宇根夏樹

2020.11.20

16年のカブス世界一達成を祝うエプスティーン。彼が解いた2つ目の“呪い”でもあった。(C)Getty Images

16年のカブス世界一達成を祝うエプスティーン。彼が解いた2つ目の“呪い”でもあった。(C)Getty Images

 カブスの編成責任者を務めていたセオ・エプスティーンが、5年契約をあと1年残し、職を辞した。エプスティーンは、史上最も成功を収めたGMと言っても過言ではないかもしれない。彼はレッドソックスとカブスで、2つの“呪い”を解いた男だ。

 オリオールズの広報アシスタントとして球界入りしたエプスティーンは、パドレスを経て、2002年オフに史上最年少(当時)の28歳でレッドソックスのGMに就任した。当時のレッドソックスは18年に、ワールドチャンピオンとなったのを最後に、およそ80年以上も頂点から遠ざかっていた。これは19年にベーブ・ルースをヤンキースへ放出したことによるものだとして、“バンビーノの呪い”(『バンビーノ』はルースの愛称)と呼ばれていた。

 エプスティーンは、当時はまだ広く普及していなかったセイバーメトリクスへの知識も深く、無名の存在だったデビッド・オティーズを見出し、03年オフにはトレードでカート・シリングを獲得するなど補強も成功させ、就任2年目の04年、ついにチームを86年ぶりのワールドシリーズ優勝へと導いた。
 
 その後、11年オフに今度はカブスの編成トップに就任。こちらは1908年以来、実に100年以上も世界一から見放されていた。45年のワールドシリーズでカブスの本拠地リグリー・フィールドへ、山羊と一緒に入場しようとして断られたビリー・サイアニスというファンが、去り際に「カブスはもう優勝できない」と言い放ったことから、シカゴでは“ビリー・ゴートの呪い”と呼ばれていた。

 ここでもエプスティーンは辣腕を発揮する。ドラフトで、のちにMVPを獲得するクリス・ブライアントを獲得し、オリオールズでくすぶっていたジェイク・アリエタをトレードで獲得してサイ・ヤング賞投手にまで成長させるなどして、16年に球団108年ぶりの頂点をもたらした。

 16年の優勝直後には「次に解くのは、阪神にかけられている“カーネルの呪い”か」と書いた英文記事もあった。これはジョークにしても、エスプスティーンは現在46歳。隠居する歳ではない。これからどうするのかは、気になるところだ。
 

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