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プロ野球

【2020総括|ヤクルト】村上&青木が大活躍しても得点力が大幅に低下。投手陣も低調で2年連続最下位に低迷

勝田聡

2020.12.03

4番の村上(左)が大打者に成長したものの、新外国人エスコバー(右)が不発で得点力はダウン。投手陣も苦しいやり繰りを強いられた。写真:滝川敏之

4番の村上(左)が大打者に成長したものの、新外国人エスコバー(右)が不発で得点力はダウン。投手陣も苦しいやり繰りを強いられた。写真:滝川敏之

▶今季の総括
 巨人以外のチームでは唯一、首位に立つなど序盤は好調だった。しかし、8月以降は負けが込み、終わってみればリーグ5位の広島からも12ゲーム差をつけられての最下位に沈んだ。

 主軸を務めていたバレンティンが退団した打線にはメジャーでゴールドグラブ受賞歴のある遊撃手のエスコバーを補強したものの、もともと長打が売りの選手でないだけに得点力低下が懸念されていた。不安は的中し、エスコバーは打率.273ながら104試合でわずか1本塁打。チーム全体でも、1試合平均得点が4.6→3.9、OPSも.728→.696と大きく下降した。

 もっとも、これはエスコバーだけでなく、開幕5番の塩見泰隆と正捕手・中村悠平が長期欠場したこと、そして大黒柱・山田哲人の不振が重なったことも大きな要因。4番・村上宗隆の想像をはるかに超える活躍や、キャプテン青木宣親の年齢を感じさせぬ奮闘はあったものの、この2人だけでは到底カバーできなかった。

 投手陣は、2年連続で防御率リーグワーストと今年も苦しんだ。先発では小川泰弘がノーヒッターを達成し、5年ぶりに2ケタ勝利をマークしたものの、スアレスは故障離脱もあって4勝どまり。イノーアとクックの新外国人もまったく機能せず、独立リーグでプレーしていた歳内宏明を緊急補強したほど台所事情は厳しかった。その歳内は1勝のみで防御率も4点台だったが、9月半ばから先発ローテションを守った点は評価できる。ドラフト1位の金の卵・奥川恭伸も最終戦で先発。炎上という結果に終わったが、故障もありながら一軍登板まで来たことは及第点の一年だったと言えるだろう。

 一方で中継ぎ陣は光が見えた。清水昇、寺島成輝のドラフト1位コンビが躍進。今シーズンから新加入の長谷川宙輝は1度も降格せずシーズンを投げ切った。シーズン半ば以降はマクガフ、清水、石山泰稚の勝ちパターンが安定していたことも収穫に挙げられる。
 
▶2021年のキーマン
・村上をプロテクトする打者/寺島成輝

 得点力を上げるためには、村上をプロテクトする5番打者の存在が重要となる。現状の候補となる塩見や中山翔太、新外国人選手のオスーナなどが活躍すれば、山田や青木と実力者が揃う上位からの打線が”形”になる。

 投手陣では先発挑戦が濃厚な寺島がカギを握る。今シーズンは中継ぎで経験を積み、秋のフェニックス・リーグでは先発として結果も残した。寺島が先発で計算できるようになれば、ローテーションはぐっと楽になる。

 最下位脱出を図るためには補強だけでなく、既存戦力の底上げも必要不可欠だ。村上や清水のように大ブレイクする選手が、来季も現れることに期待がかかる。

取材・文●勝田聡

【著者プロフィール】
かつた・さとし/1979年生まれ、東京都出身。人材派遣業界、食品業界で従事し30代後半で独立。プロ野球、独立リーグ、MLBなど年間100試合ほど現地観戦を行っている。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。
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