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MLB

コロナ禍で“厳冬”になるはずが…意外に好条件契約が頻出しているMLBのストーブリーグ

宇根夏樹

2020.12.19

“厳冬”が予想されたはずが、蓋を開けてみれば今季はホワイトソックスの2番手捕手だったマキャン(右)や目立った実績のないスマイリー(左)に予想以上の大型契約が与えられた。(C)Getty Images

“厳冬”が予想されたはずが、蓋を開けてみれば今季はホワイトソックスの2番手捕手だったマキャン(右)や目立った実績のないスマイリー(左)に予想以上の大型契約が与えられた。(C)Getty Images

 コロナ禍の中、今オフのストーブリーグは動きが鈍く、オンライン開催のウィンターミーティングが終わっても、特に大きな動きはなかった。とはいえ、完全に無風だったわけではない。ウィンターミーティングまでに成立した主なFAとトレードは以下の通りだ。

▼主なFA契約
チャーリー・モートン(ブレーブス) 先発投手 1年1500万ドル(約15億7000万円)
ドリュー・スマイリー(ブレーブス) 先発投手 1年1100万ドル(約12億1000万円)
マイク・マイナー(ロイヤルズ) 先発投手 2年1800万ドル(約18億8000万円)
カルロス・サンタナ(ロイヤルズ) 一塁手 2年1750万ドル(約18億2000万円)
アダム・イートン(ホワイトソックス) 外野手 1年700万ドル(約7億3500万円)

▼主なトレード
ランス・リン(レンジャーズ→ホワイトソックス) 先発投手
ホゼ・イグレシアス(オリオールズ→エンジェルス) 遊撃手
ライセル・イグレシアス(レッズ→エンジェルス) 救援投手
 
 ブレーブスが11月に契約したモートンは、MLBの移籍情報サイト『MLBトレード・ルーマーズ』での予想契約額は1年800万ドル(約8億2400万円)だった。スマイリーも、予想額(1年500万ドル)の倍額以上を手にした。

 そして、ウィンターミーティング終了後の12月12日にはメッツが捕手のジェームズ・マキャンと4年4000万ドル以上の大型契約を結んだことが報じられた。彼の予想契約額は2年2000万ドルで、やはり倍額以上の大盤振る舞い。確かに、例年と比べてここまでの市場の動きは鈍いものの、金額は意外なほど高い契約が多いのだ。

 これらの契約内容は、当然、トップFAの先発投手トレバー・バウアーや、外野手のジョージ・スプリンガーの契約にも影響を与えるはずだ。他ならぬメッツが2人のうちどちらか一方、あるいは両方を獲得するのではないかとの憶測も出ているし、ブルージェイズも両方に興味を示している。先発投手陣の底上げが必須課題のエンジェルスもバウアー争奪戦に参加。バウアーには5年1億5000万ドル(約155億円)、スプリンガーには5年1億2500万ドル(約129億円)規模の契約が予想されているが、それ以上の条件も有り得るかもしれない。

 マキャンが市場から消えたことで、スプリンガーと同等規模の契約が予想されているトップ捕手のJT・リアルミュートの争奪戦も激化するはずだ。前所属のフィリーズやヤンキースだけでなく、ナショナルズやブルージェイズも興味を示しているという。コロナ禍で「前例がないほどの“厳冬”」と予想された今オフのストーブリーグも、例年通り白熱したものになるかもしれない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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