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マー君の要求額は約14億円!? 「1人の値段で2人を補強できた」とヤンキースGMが“契約回避”の理由を説明

THE DIGEST編集部

2021.01.30

ヤンキース側が田中の値段が“高い”と判断したようだが、冷静に考えると適正だと思えてくるが…。(C)Getty Images

ヤンキース側が田中の値段が“高い”と判断したようだが、冷静に考えると適正だと思えてくるが…。(C)Getty Images

 日本時間1月28日、田中将大が楽天へ電撃復帰を果たした。FA市場においてトップ級の先発投手としてランク付けられていた、“バリバリ”のメジャーリーガーが日本凱旋となったわけである。果たしてどんな成績を残すのか、2013年に24勝0敗1セーブという空前絶後の活躍の再現となるのか、多くのファンが注目しているのは間違いない。

 30日の入団会見にて、なぜ田中が楽天への凱旋を決めたのかは語られることになるだろうが、当たり前だが田中はメジャーでも需要のあった投手である。特にニューヨーク・ヤンキースとの再契約が濃厚視されていた中で、両者がたもとを分かった理由は何だったのだろうか。

 ブライアン・キャッシュマンGMが現地時間29日、会見を開いてその“内幕”を説明している。同氏はまず、田中との別れは「あまりに大きな損失であり、タナカの替えを見つけるのは難しいだろう」と、右腕の流出に対して素直な感情を述べた。そして、ヤンキースは再契約しようと動こうとしていたものの、田中サイドはそこまで乗り気ではなく、オフシーズンの早い段階から再合流は難しい状態だったと認めた。
 
 その中で、ヤンキースは田中の他にも複数の先発投手がFAとなっており、先発ローテーションの再構築が不可欠だった。そして、過去2年は故障でほとんど投げられたなったサイ・ヤング賞2回のコリー・クルーバーを1100万ドル(約11億5000万円)、トレードでジェイムソン・タイオン(年俸225万ドル/2億3000万円)を補強していった。

 タイオンはトミー・ジョン手術により昨季全休しており、クルーバーともども田中ほど計算のできる投手ではない。しかし、ヤンキースが田中ではなく彼らを選んだのは、キャッシュマンGMいわく「タナカ1人の値段で2人が賄えた」からだという。ヤンキースは何度か田中の代理人に接触を図った結果、田中の要求額が「クルーバー1100万ドル+タイオン225万ドル=1325万ドル(約13億8700万円)」前後だったことで、手を引いたようだ。

 もちろん、先発投手を複数人補強しなければならないチーム事情からすれば、田中一人に補強予算をつぎ込むわけにはいかないというのは納得だ。しかし、コロナ禍で経営に深刻なダメージがなければ、世界最高の名門球団が、“たかだか”1300万ドル程度を出し渋ることもなかっただろう。しかも、この金額は事前に田中が手にすると予想された3年3900万ドル(約41億円)の年平均に相当しており、田中の要求自体は“適正価格”とも言える。

  田中が楽天と結んだ契約は、日本歴代最高年俸となる9億円以上とも言われている。それでも、メジャー球団の方が大金を提示していた可能性はあるだろう。しかし、昨年に続いて今シーズンも試合数が削減となるようなことがあれば、額面からどんどん引かれることになり、結局は楽天の方が金額面で上回るようなこともなくはない。コロナ禍の状況も、日本とアメリカでは雲泥の差だ。

 相思相愛と見られた田中とヤンキースだが、結果的には「ローリスクで確かな契約を選んだ田中」と、「安価で複数の投手が補強したいヤンキース」の“利害”が一致したとも言えるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
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