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高校野球

高橋宏斗から受け継いだ「心構え」と「プロの投球」。中京大中京・畔柳享丞、12K完封劇の“裏側”

氏原英明

2021.03.25

プロ注目右腕・畔柳が圧巻の完封劇。高校生離れした本格派の矜持とは? 写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

プロ注目右腕・畔柳が圧巻の完封劇。高校生離れした本格派の矜持とは? 写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 珠玉の投手戦は、中京大中京が7回に大会3号となるランニングホームランで2点を挙げ、わずか3安打で専大松戸に勝利した。

 大会注目の右腕・畔柳享丞(中京大中京)は評判に違わぬピッチングを見せた。最速146キロのストレートを武器に、カーブ、スライダー、スプリットチェンジで三振を量産。ストレート多めの強気なピッチングは本格派投手の矜持を見た。

「チームを勝たせることが僕の役目と思っているので、一人一人に全力で向かっていこうと投げました。三振数は気にしていません」

 12奪三振の完封勝利にも、畔柳はそう振り返った。

 圧巻だったのは131球中、90球を数えたストレート主体のピッチングだ。近年の高校野球の傾向として、注目のピッチャーほど変化球を多めに投げてくるこうとが多い。しかし、畔柳はそれをしなかった。1回の先頭はストレートから入ったし、ピンチこそ腕を振る。勝負を決める9回はほとんどがストレートで2つの三振を奪った。
 
 試合は投手戦となった。相手・専大松戸の技巧派右腕・深沢鳳介は、畔柳とはまったく重ならないタイプの投手で、インコースに速い球、外に緩い球を投げる配球を徹底。投球をちりばめて中京大中京打線にほとんどいいスウィングをさせなかったのだ。

 試合トータルでの被安打はたったの3本。球数は100球を切るテンポの良いピッチングだった。畔柳は6安打で131球を投じているから、どれほどプレッシャーがかかっていたかは想像に難くない。

 ただ、それでもピンチでこそ腕を振る力投派のスタイルは圧巻だった。

 美馬学(ロッテ )、上沢直之(日ハム)、高橋礼(ソフトバンク)らを育て上げた専大松戸の持丸修一監督はこう称えている。

「(ストレートだけでなく)変化球も投げれますし、打たれても動揺しない。一流のピッチャーですね」
 
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