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プロ野球

【ドラフト候補タイプ別診断:「育成大化け候補」】巨人三軍を相手に好投した独立リーグの速球派右腕2人に注目<SLUGGER>

西尾典文

2021.10.09

BCリーグ栃木に所属する堀越。チームメイトの手塚とともに150キロ超のストレートでNPB入りを目指す。写真:西尾典文

BCリーグ栃木に所属する堀越。チームメイトの手塚とともに150キロ超のストレートでNPB入りを目指す。写真:西尾典文

 いよいよ11日に迫ったプロ野球のドラフト会議。今年も多くの選手に注目が集まる中、テーマ別に有力候補を紹介していく。今回のテーマは「育成大化け候補」だ。

 まず高校生投手では、ともに九州の大型右腕である柳川大晟(九州国際大付高)と黒木優(九州文化学園高)の2人を挙げたい。柳川は下半身と上半身が上手く連動せず、コントロールを気にしてか、加減したような腕の振りが目立つのも気がかりだが、191㎝の長身でとにかくスケールの大きさが魅力。ヒジが上がりきらないまま無理に上から投げようとして中途半端な腕の位置になっているため、思い切ってサイドにしてみるのも面白そうだ。

 一方の黒木も184㎝の大型右腕で、春先の評価は非常に高かったが、その後調子を大きく落として夏の長崎大会も最速140キロにとどまった。ただ身のこなしやヒジのたたみ方などはセンスがあり、しっかり体を作って長身に見合う筋力がついてくれば一気にスピードアップすることも期待できる。

 高校生の野手では柳沢大空(日大藤沢高)、エドポロ・ケイン(日本航空高)の外野手2人が候補となる。柳沢は思い切りの良いフルスイングが持ち味で、タイミングを外されても多少詰まってもとにかく強く振れるというのが持ち味。コントロールは少し不安定だが、ライトから見せる強肩も魅力だ。
 
 エドポロもタイミングの取り方が安定せず、なかなか自分のミートポイントで打てることが少ないが、差し込まれても強く弾き返せるパンチ力が光る。ともにまだまだ粗削りだが、プロで鍛えてみたい素材であることは間違いない。

 大学生では山口大晴(吉備国際大)と富田龍(四国学院大)の投手2人が面白い。山口は大学3年から投手に転向したという遅咲きながらも、恵まれた体格から140キロ台後半のストレートを投げ込む本格派右腕。実績は乏しいにもかかわらず、春のリーグ戦後には中国地区大学野球連盟の選抜チームにも選ばれ、社会人チームとの交流戦でも好投している。

 富田は伸びやかなフォームが魅力のサウスポー。昨年、水上由伸(西武)を視察したスカウト陣の前で最速146キロのストレートを披露し、注目を集めた。4年になってから目立った成績を残すことはできていないが、貴重な本格派サウスポーだけに楽しみな存在だ。

 独立リーグでは手塚俊二、堀越歩夢という栃木ゴールデンブレーブスの2人の素材の良さが光る。手塚は大学中退、堀越は大学4年時の在学中に独立リーグ入りしているが、環境を変えて着実に力をつけてきた。9月23日に行われたBCリーグ選抜と巨人三軍との交流戦ではともに150キロを超えるスピードをマークしている。細かい点はまだまだ課題は残るものの、長身でスケールの大きさは申し訳ないだけに、NPBでもさらなる成長が期待できそうだ。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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