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MLB

鈴木誠也の所属先は来年2月まで決まらない?長期化が懸念されるMLBロックアウト妥結のカギとは<SLUGGER>

出野哲也

2021.12.07

気になる鈴木の移籍先だが、ロックアウトが妥結しない限りは決まらない。(C)Getty Images

気になる鈴木の移籍先だが、ロックアウトが妥結しない限りは決まらない。(C)Getty Images

 現地12月2日、選手会との労使協定が期限切れを迎えたMLBはロックアウトに突入した。このまま新協定が結ばれないと、2022年は開幕が延期されるか、最悪の場合は中止になる恐れもある。

 1994~95年に選手会がストライキを決行した際、深刻なファン離れを招いた反省から、オーナー側と選手会は協調路線をとるようになり、27年間ストライキやロックアウトに至ることはなかった。だが、前回(16年)の協定がもたらした状況に選手会は不満を募らせており、改善を求めてオーナー側と激しく対立。とうとう決裂に至ったというわけである。

 選手会の一番の不満は、MLBが享受している莫大な収入が自分たちに十分還元されていない点だ。MLB機構の総収入における年俸総額のパーセンテージは、15年の57%から19年は47%まで下降。これは各球団がFA選手の長期高額契約を控え始めたことなどが理由で、15年に比べて年俸の中央値は30%も下がっている。
 
 しかしながら、オーナー側はNFLやNBAと比べ、MLBは選手の取り分は特別低いわけではないと主張。コロナ禍で20年が無観客になった影響は甚大で、決して余裕はないとも言っている。そこで彼らは、競争力均衡税(ぜいたく税)の課税基準を下げようとしている。現状で年俸総額2億1000万ドルに設定されているのを、球団間の格差を縮めるため1億8000万ドルまで下げ、これを超過した際の罰金(超過していない球団へ均等に分配する)も値上げする。

 その代わり、年俸総額を低く抑えながら分配金をタダ取りするチームが出ないように、1億ドルのサラリーフロア(年俸総額の最低基準)設定を持ち掛けている。これに対し、選手会は課税基準を厳格化すると戦力補強の意欲を削ぎ、年俸引き下げにつながるとして、逆に上限を引き上げるか、もしくはタックスそのものの廃止を目論んでいる。

 オーナー側による「サービスタイム」の操作も重要な争点だ。これは有望な若手のFA権取得時期を遅らせるため、実力的にメジャー昇格の準備ができているにもかかわらず見送る策略を指すもの。現状ではFA資格を得るまで6年、年俸調停資格までは基本的に3年が必要だが、球団側が何かと理由をつけてメジャー登録を遅らせることで、資格取得が先延ばしにされる事例が恒常化している。
 
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