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MLB

【2021大谷翔平の軌跡:8月】本塁打のペースが鈍った中で俊足を発揮。ヤンキース戦では自身初の快挙も<SLUGGER>

斎藤庸裕

2021.12.29

8月は本塁打のペースこそ落ちたが、足で貢献。31日のヤンキース戦ではディレイド・スチールで見事な本盗を決めた。(C)Getty Images

8月は本塁打のペースこそ落ちたが、足で貢献。31日のヤンキース戦ではディレイド・スチールで見事な本盗を決めた。(C)Getty Images

 8月、これまで順調だった大谷に変化が表れた。7月29日から13試合連続ノーアーチ。本塁打の量産ペースが一気に鈍化した。相手バッテリーの警戒度が高まり、ボール球に手を出すケースも目立ってきた。好球必打のアプローチが崩れかけていた。

 そんな中で、ジョー・マッドン監督が打開策を練った。2番から打順を変え、「1番・大谷」。これがさっそく機能した。

 11日のブルージェイズ戦、本塁打王のタイトル争いを繰り広げていたブラディミール・ゲレーロJr.の前で38号2ランを放った。これをきっかけに徐々に調子を取り戻し、月間で5本のアーチを重ねた。とはいえ、本調子にはほど遠い状態だった。それでも、投打で常に全力プレーを見せることが、今季の大谷を象徴していた。

 8月18日のタイガース戦。今季最長の8回を投げ、8勝目を挙げた。球数は90球。ナイトゲームだったが、翌日はデーゲーム。休む間のないほどのスケジュールだったが、それでもフル出場した。6打席に立ち、3打数2安打。チームの大逆転勝ちに貢献した。26日には先頭打者アーチとなる41号を放ち、自身初の規定打席にも到達。この時も、前日に5回84球を投げた翌日の試合で躍動した。夏場を迎えて疲労が蓄積される中でも、休むことなく働き続けた。
 また、本塁打以外の形でもチームに貢献しようとする姿勢が強かった。28日のパドレス戦では、今季20個目の盗塁をマーク。球団史上初めて「シーズン40本塁打&20盗塁」に到達した。

 これだけではない。8月の最後は「自身初」の快挙で締めくくった。

 8月31日のヤンキース戦。3点リード、5回2死一、三塁の三塁走者だった。投球後に少し送れてスタートを切った一塁走者に反応した。捕手から二塁へ送球され、投手がかがんだ瞬間、大谷は思い切って走った。二塁ベースカバーに入った遊撃手による捕手への返球との勝負。大谷がトップスピードに乗ったままスライディングで飛び込み、左手でタッチをかいくぐった。

 キャリア初のホームスチール成功だった。本塁打が出にくくなっても、足で貢献する。状況が変わりつつある中、野球への姿勢は変わらなかった。

 初の本盗の直前、大谷は三塁コーチと話し込んでいた。その後、相手の守備位置を確認。二塁ベースカバーに入る遊撃手から本塁への送球は、コントロールが難しい状況だった。

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