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高校野球

東海大会準優勝の聖隷クリストファーがまさかのセンバツ落選。過去の選考にも「不可解」な事例が<SLUGGER>

西尾典文

2022.01.28

今年のセンバツ出場校の本命と見られていた聖隷クリストファーがまさかの落選。このような事例は今回だけでなく……。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

今年のセンバツ出場校の本命と見られていた聖隷クリストファーがまさかの落選。このような事例は今回だけでなく……。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

 1月28日に第94回選抜高校野球の選考委員会が行なわれ、出場32校が決定した。出場校の選出を巡っては毎年のように物議をかもすことが多いが、今回の最大の“サプライズ”は、昨年秋の東海大会で準優勝した聖隷クリストファー(静岡)の落選だろう。

 優勝した日大三島(静岡)との決勝戦のスコアは3対6。逆転で選出された大垣日大(岐阜)は準決勝で日大三島に5対10で敗れており、試合内容を考えても聖隷クリストファーの落選を予想するのは困難だった。選手個々の能力の高さ、前評判の高かった静岡高(静岡)の好投手・吉田優飛の攻略、優勝候補だった享栄(愛知)をレベルの高い戦いで破ったことが大垣日大の評価ポイントだったとの説明があった。だが、これに納得した人は少なかっただろう。

 もっとも、これまでにもまさかの落選となったチームは少なくない。複数の地区で逆転現象が起きたのが2003年の75回大会だ。

 この年、北信越の2校目は前年秋季大会準優勝の福井商(福井)が有力と見られていたが、決勝戦で3対10と大敗したことが響いて落選。準々決勝で優勝校の敦賀気比(福井)と接戦を演じた福井高(現福井工大福井/福井)が選ばれた。当時の福井にはプロ注目のエース・藤井宏海(元ロッテ)が所属していたことも要因と言われたが、同じ県内のライバル校の選出に福井商の選手が驚いたことは想像に難くない。
 
 さらに、この年の近畿では、準々決勝で敗れた箕島(和歌山)、育英(兵庫)、南部(和歌山)、近江(滋賀)が5校目と6校目の枠を争うと見られていたが、結局選ばれたのは近江だけ。近畿大会初戦で敗れた近大付(大阪)が大逆転選出となったのだ。落選した3校は準々決勝で大敗したわけではなく、いずれも接戦だったことを考えても、近大付の選出には納得のいかない思いが残った関係者は多かった。

 2009年の第81回大会では、前年の東北大会準優勝の一関学院(岩手)が落選し、同じ岩手から準決勝敗退の花巻東が選出されている。

 優勝した光星学院(現八戸学院光星/青森)とのスコアは一関学院が1対7、花巻東が3対6だったことを考えると以前のケースほどの違和感はないが、やはり一関学院のショックは大きかったはずだ。ちなみに、この時に出場した花巻東のエースが菊池雄星で、本大会では決勝進出の原動力となっている。

 出場校の発表を聞いていて毎年感じるのは、その選考理由の「不可解さ」である。地区によって明らかに選考委員が評価するポイントが違うということも珍しくない。センバツはあくまでも選考委員によって選ぶチームの大会だと言ってしまえばそれまでだが、聖隷クリストファーの選手から落選の理由を尋ねられた時に、果たして納得のいく回答はできるのだろうか。今後、少しでも多くの人が納得できる形での選考が行なわれることを切に願いたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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