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プロ野球

「怠け者だった」――“鉄人”鳥谷敬が明かしたプロ人生18年の秘訣。何よりも重要だった「自分自身を理解する力」とは

THE DIGEST編集部

2022.03.17

時折、冗談を交えながら生徒たちに語り掛けた鳥谷氏。その言葉は実に説得力があるものばかりだった。写真:徳原隆元

時折、冗談を交えながら生徒たちに語り掛けた鳥谷氏。その言葉は実に説得力があるものばかりだった。写真:徳原隆元

「基本、自分は怠け者なんで」

 元阪神タイガースの鳥谷敬氏は、3月16日に都内の中学校で開いた講演で、ふた回りも歳の差がある生徒たちに向け、そう語りだした。
【動画】まさに千両役者! 鳥谷敬が現役時代に甲子園で放った鮮烈タイムリー

 意外な言葉だった。それは彼がアスリートとして、エリート街道を歩んできたからだ。埼玉県の強豪校・聖望学園から早稲田大学に進学。2003年にはドラフト1位で阪神タイガースに入団し、21年に千葉ロッテで現役を引退するまでプロ生活は18年も続いた。そのなかで、2243試合に出場し、通算安打数は2099本を数えた。

“鉄人”というイメージの強い鳥谷氏だけに、幼少期から練習の虫だったのかと勝手に描いていた。それだけに「たぶん、本格的に(大学で)プロを目指すまでは家で一回も練習をしたことはなかった」というのは、いささか驚きだった。

 それでもプロになった。40歳のレジェンドは、球界最高峰を目指していくうえでの、“怠け者”だという自分との向き合い方を、中学生にこう話した。

「毎朝11時には練習に必ず行くようにしていました。その時間に『鳥谷は来るんだ』とみんなに植え付けるという感じですね。人の目を使って、自分がそこに行くしかないという状況を作る。それで練習に行って、ぼーっとしているのも勿体ないから、練習するという流れを意識してました。そうすれば、必然的に動けるので」
 
 自らの性格と向き合い、それを受け止めたうえで、最適の努力を続けた。そんな鳥谷氏は、「自分を理解することが大事になる」とも説いた。

「自分は小さいころからスポーツはある程度できた。でも、常に打つことや、走ることで、誰かしらに負けてきた。一番になったことはほぼない。それが小さい頃はコンプレックスだった。でも、プロに入ったら、全部をある程度できることが最高の武器に変わった。

 どれも平均よりも少しだけでもできることで、代走や代打、守備固めを出されることもないっていうのは、本当に武器になった。だから、自分自身を自分で理解するっていう作業をしておくと、何か将来的に夢を達成していくうえでの鍵になると思う」

 中学生への講演会という経験は「ほとんど初めて」だという鳥谷氏。それでも多感なティーンエージャーたちに「選択した後に、その選択を成功に導くために努力を毎日するというのが大切。その自分で決めるということをやってほしい」とメッセージを送る姿は、まさに“先生”のようであった。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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