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MLB

「投手に投げるのがイップスだった」ダルビッシュが語るナ・リーグDH制の“恩恵”。昨年はカーショウに押し出し、投手から被弾も経験

THE DIGEST編集部

2022.04.09

開幕戦で圧巻投球を見せたダルビッシュ。その要因には、打席に立つ必要がなくなった新ルールが影響していたのかもしれない。(C)Getty Images

開幕戦で圧巻投球を見せたダルビッシュ。その要因には、打席に立つ必要がなくなった新ルールが影響していたのかもしれない。(C)Getty Images

 現地時間4月7日、ついにメジャーリーグが開幕を迎えた。今シーズンは2年連続のMVPも期待される大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)や、広島から移籍を果たした鈴木誠也(シカゴ・カブス)をはじめ日本人選手の注目が高まるばかりだが、開幕戦で最もセンセーショナルな活躍を見せたのはダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)だろう。

 2年連続、メジャー3度目の開幕投手を任されたダルビッシュは敵地でのアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦に先発。昨年5登板で防御率6.65と大炎上した苦手チームとの対戦だったが、序盤から伸びのある4シームと得意の変化球をうまく織り交ぜ、なんと6回までノーヒットノーランを継続する圧巻の投球だった。

【動画】圧巻の6回ノーヒッター! ダルビッシュの快投を振り返ろう

 もっとも、4四球もあって球数が92球に達したこともありここで降板。さらには9回に元阪神の守護神ロベルト・スアレスの大乱調もあって初の開幕戦勝利投手は幻に終わったが、それでもこの快投はあまりに鮮烈だった。そして、この投球を支えたのは、もしかしたらある“ルール変更”が影響したのかもしれない。

 この試合後、テレビの囲みインタビューに応じたダルビッシュは炎上したスアレスをなぐさめるとともに、今年から導入された「電子機器によるサイン伝達」と「ナ・リーグのDH制」についても自説を明かした。

 前者について右腕は、「球場って試合になるといろんな音楽や音があるので、聞こえないことがけっこう多くて、逆にペースが悪くなる」とし、時短にはつながりにくいとの見解を展開。一方、後者については明らかに好意的な見解と自らの“悩み”を明かした。

 ダルビッシュは「今だから言うんですけど」と前置きしたうえで、なんと「ピッチャーに対してイップスを持っていた」という驚きの言葉を放ったのだ。

 イップスとは、心の問題などで突如、自分の思ったプレーができなくなる現象で、これにより現役を退くことになる選手も少なくない。そしてダルビッシュは、本来まったく打撃が得意でない、いわゆる“安パイ”のピッチャーに投げるのが嫌だったという。

 確かにそれを証明するようなケースがあった。昨年4月17日のロサンゼルス・ドジャース戦では、元チームメイトのクレイトン・カーショウに与えた押し出し四球が決勝点になる黒星を喫したこともあるし、7月31日のコロラド・ロッキーズ戦でも豪腕ヘルマン・マルケスに本塁打を浴びたことがあるなど、打たれなくとも投手に投げづらそうなシーンはこれまで散見されていた。

 しかし、今シーズンからナ・リーグにDH制が導入されたことで、事実上、ダルビッシュが打席に立つことはなくなったと言っていい。こうしたメンタルの余裕が、もしかしたら開幕戦6回ノーヒッターの快投につながったのかもしれない。さらに言えば、今季以降のピッチングにもプラスに働くことがあるだろう。

 ダルビッシュはこれまでサイ・ヤング賞投票で2度も2位に入るなど、名実ともに“日本人最強投手”の声をほしいままにしてきた。そしてDHがなくなった今、3度目の正直がもたらされる可能性も十分にあるはずだ。

構成●THE DIGEST編集部
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