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史上最も不運なドラフト全体1位選手?エンジェルス監督代行に就任したフィル・ネビンの数奇な運命<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.06.08

マイナーでは監督歴があるネビンだが、メジャーで指揮を執るのは今回が初となる。(C)Getty Images

マイナーでは監督歴があるネビンだが、メジャーで指揮を執るのは今回が初となる。(C)Getty Images

 現地6月7日、エンジェルスがジョー・マッドン監督を解任するという衝撃的なニュースが飛び込んできた。監督代行に任命されたのは、今季から三塁コーチに就任していたフィル・ネビン。彼は一体どんな人物なのだろうか。

 1971年、アナハイムに程近いフラートンで生まれたネビンは、地元のカリフォルニア州大フラートン校で強打の三塁手として名を馳せる。92年のカレッジワールドシリーズでMVPに輝き、大学最優秀選手に贈られるゴールデン・スパイクス賞も受賞。同年のドラフトでは、アストロズから全体1位で指名された。

 だがこの時、彼は運命のいたずらに見舞われる。

 当時、アストロズにはハル・ニューハウザーという通算207勝の元名投手(この92年に殿堂入りも果たしている)がスカウトとして働いていて、ネビンではなくミシガン州のある高校生遊撃手を全体1位で指名するべきと主張していた。だが、アストロズは高額の契約金を要求されることを恐れてネビンを選択した。これに激怒したニューハウザーはその年を最後に辞職し、球界からも引退した。
 
 そして、ニューハウザーが推していた高校生遊撃手は全体6位でヤンキースに入団し、伝説的な名選手となる。そう、デレク・ジーターだ。

 ワールドチャンピオンに5度輝き、通算3465安打を積み上げて殿堂入りも果たしたジーターを逃したことは、今に至るまでアストロズの球団史に残る汚点となっている。

 一方、ネビンは95年6月にメジャーデビューを果たすが、2ヵ月後にタイガースへトレード。その後、エンジェルスを経て4球団目のパドレスでようやく定位置をつかみ、2001年には41本塁打を放つなど主砲として活躍した。メジャー12年間で打率.270、208本塁打という通算成績は十分誇っていい数字のはずだが、ジーターと比べるとさすがに分が悪い。

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