あの“稀代の安打製造機”に並ぶ偉業だ。

　現地時間７月19日にドジャー・スタジアムで行われるオールスターの先発メンバーが発表され、得票率でわずかに上回った大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）がヨーダン・アルバレス（ヒューストン・アストロズ）を退け、ア・リーグ指名打者部門のスタメンの座を手にした。日本人でこの“檜舞台”にファン投票で出場するのはイチロー氏以来の快挙となった。

　華麗なる逆転選出だった。一次投票で221万5456票を集めたアルバレスに大谷は約55万票差をつけられていたが、続いて始まった決選投票ではこれが一変。最終的に52％の支持を得た球界で唯一無二の二刀流戦士が、“怪物”を上回ったのである。

　無論、オールスターは「見たい」選手に投票されるもので、ファンの考えが重要視されるのは致し方ない。しかし、今季のアルバレスは、打率.312、26本塁打、60打点、OPS1.076、出塁率.412となによりも攻撃力が求められるDHにおいて図抜けた成績を収めているだけに、大谷の選出を懐疑的に見る識者も少なくない。
  　アストロズのポッドキャスト番組『Space City Sports Talk』でコメンテーターを務めるカーター・ディクソンは「オオタニを悪く言うつもりはないし、不快感なんてない。だけど、DHにおいてアルバレスよりも良いと見るには何か処方箋がいる」と自身のツイッターに投稿。さらに同じくアストロズのポッドキャスト番組『No Doubter』でMCを担当するバレット・ブーンは、次のように強調した。

「ショウヘイ・オオタニは、野球界がかつて見たことのないような本当に素晴らしい才能の持ち主だ。だけど、今年のアメリカン・リーグの指名打者のスタメンはヨーダン・アルバレスであるべきだ。彼も信じられないようなシーズンを送っているからね。オオタニを投手で先発にして、アルバレスをDHに置けばいい。これで問題は解決し、両選手に敬意を払うことができる」

　OPSメジャートップとDHとして申し分ない成績を残すアルバレスへの同情の声は絶えない。実際、打撃成績だけを見れば、大谷のそれを凌駕している。だが、返すがえすも、オールスターはファンが「見たい」と思う選手が選ばれてナンボである。今回の大谷選出は、それを如実に物語る結果と言えるのではないだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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