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プロ野球

【前半戦通信簿|日本ハム】新庄ビッグボスの起用法は賛否両論でも、清宮らが台頭して「見ていて楽しいチーム」に<SLUGGER>

出野哲也

2022.07.26

ある意味で前半戦最大級に注目された新庄日本ハム。マイナス面ばかり取り上げられる中、確かなプラス要素もあった。写真:THE DIGEST

ある意味で前半戦最大級に注目された新庄日本ハム。マイナス面ばかり取り上げられる中、確かなプラス要素もあった。写真:THE DIGEST

日本ハム
37勝55敗0分 勝率.402(6位/12.0ゲーム)
平均得点:3.25(4位)
平均失点:3.63(6位)
得失点差:-35(6位)

▼前半戦通信簿:可もなく不可もなく
 前半戦は見方によっては合格点とも、0点とも言えるだろう。開幕前に新庄剛志ビッグボスが「優勝を目指さない」と公言し、実際に全力で勝とうとしているように思えない選手起用や作戦を実行しているのは、プロ野球チームとして正しい姿勢なのか? との疑問もある。結果として、パ・リーグで唯一借金を抱えるチームとして前半戦を折り返した。

 しかしその一方で、戦力不足を逆手に取る形でシーズン全体(前半戦)をトライアウトと位置付けたことで、楽しみな戦力が次々に現れたのも事実だ。リーグ唯一の打率3割到達者で、.350以上のハイアベレージを維持している松本剛を筆頭に、宇佐見真吾も昨年までとは見違えるように良くなり、清宮幸太郎も期待に応え始めた。北山亘基や上川畑大悟らドラフト下位指名の新人も重要な戦力になっている。

 打線は好球必打の方針により四球が激減した反面、打者不利の札幌ドームを本拠としながら71本塁打はリーグ2位で、昨年1年間で記録した78本を早くも上回る勢い。長打率.366も2位と、相手投手は気が抜けなくなった。得失点差も-35とそれほど多いわけではなく、もっと良い戦いができてもおかしくなかった。奇抜な作戦には賛否があるだろうが、「見ていて楽しいかどうか」という点では、昨年までよりはるかに改善されている。

【動画】“覚醒”した清宮幸太郎が圧巻の弾丸11号アーチ
 
▼後半戦のキーポイント
・野手起用は固定、投手は“お試し”を継続

 後半戦はメンバーを固定するとビッグボスは明言していて、実際、野手はその方がいい。一塁は清宮、三塁は野村佑希、二遊間をアルカンタラ、上川畑、石井で分担。外野とDHは近藤健介と、骨折から戻ってくれば松本は確定で、残りを淺間大基、今川優馬、万波中正で争う。これを基本型とし、二軍で結果を出した者に随時チャンスを与える形でいいのではないか。

 一方、防御率リーグワーストの投手陣は“トライアウト”の続行で構わないだろう。上沢直之の怪我に加え、お試し起用の田中瑛斗や池田隆英が結果を出すなど、まだ見極めが終わっていないからだ。目先のCS争いより、3年後の優勝を目指して戦ってきた以上、それを貫徹しなければ意味がないだろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「トレード」総検証』(いずれも言視舎)。

データ提供:DELTA

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