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プロ野球

【前半戦通信簿|DeNA】ブルペンの頑張りもあって借金3で前半戦折り返し。大砲オースティンの復帰に期待も密かな不安要素が<SLUGGER>

出野哲也

2022.07.27

強みの打線を牽引したのは2年目の牧。三冠王もあり得るといわれた序盤ほどではないが、それでも打ちまくっている。写真:徳原隆元

強みの打線を牽引したのは2年目の牧。三冠王もあり得るといわれた序盤ほどではないが、それでも打ちまくっている。写真:徳原隆元

DeNA
42勝45敗2分 勝率.483(4位/12.5ゲーム)
平均得点:3.53(4位)
平均失点:3.96(5位)
得失点差:-38(4位)

▼前半戦通信簿:可もなく不可もなく
  激しく浮き沈みを繰り返した他球団を横目に、大きな連勝も連敗もなく、最大9個(6月26日)まで膨らんだ借金を3個に減らして折り返した。とはいえ、得失点差は-38とあって、勝率5割前後の成績はやや出来すぎの感もある。

 主砲オースティンを右ヒジ手術で欠いていた打線では、2年目の牧秀悟が序盤戦では三冠王も狙えるのでは、と言われるほど打ちまくっていた。6月に大きく数字を落としてしまったが、OPS.866はリーグ4位。佐野恵太は打率.331で首位打者を快走中、宮崎敏郎は.318で2位と、ソト以外の中軸打者は計算通りに働いている。また、3年目の蛯名達夫も5~6月には4割近い出塁率をマークし、故障者や不振の選手が多かった外野陣を支えた。

 投手陣ではブルペンの出来が良く、伊勢大夢が45登板で防御率1,03と快投を続け、クローザーの座を取り戻した山崎康晃に加えて、エスコバーも好調。2年目の入江大生も信頼を勝ち得て、勝ちパターンでの起用が増えてきた。田中健太朗とクリスキーが故障で抜けたのは痛いが、後半戦に向け新外国人のガゼルマンを獲得して万全の体制を整えている。

 だが先発投手陣が整備されない限り、上位進出は難しい。今永昇太と大貫晋一以外は合計14勝28敗、防御率4.58。7月に入って濱口遥大が調子を上げてきたが、育成から支配下登録したばかりの石川達也を起用しているあたりに、台所の苦しさがうかがえる。
 
▼後半戦のキーポイント
・オースティンの復帰が最大の補強

 先発投手陣に大きな伸びしろが望めないだけに、野手陣にもっと援護を期待したいところだが、捕手、遊撃、中堅の攻撃貢献度がいずれもリーグワーストクラス。トレードで劇的な底上げが期待できるとも思えず、他のポジションでカバーするしかない。

 切り札となるのはやはり、7月上旬に二軍で実戦復帰したオースティン。過去2年でOPS.992の大砲がいるといないとでは、打線の厚みが大違いで波及効果も望める。残り50試合、休んでいた分を取り返す大爆発を期待したい。

・リーグ最悪のディフェンス改善は期待薄?

 守備力を示すUZRは-38.1でリーグワースト。これは、平均と比べて守備で38点も多く失点を献上していることを示す。特に問題となっているのが二塁・三塁・遊撃・レフト。このうち、遊撃は森敬斗の起用である程度向上が見込めるが、二塁(牧)、三塁(宮崎)、レフト(佐野)は攻撃力を考えるとなかなか外せない。(裏を返せば、打撃での貢献の少なくない部分を守備で吐き出してしまっているとも言えるが)。勝ち試合の終盤は守備固めを送るなどして、失点を最小限に食い止めるくらいしか手を打てないのがもどかしい。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「トレード」総検証』(いずれも言視舎)。

データ提供:DELTA
 
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