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プロ野球

【前半戦通信簿|ヤクルト】7月3日に早くもマジック点灯、独走状態を築くも投手陣に一抹の不安が?<SLUGGER>

出野哲也

2022.07.28

前半戦快進撃の原動力となったのは文句なく村上。前半戦で33本塁打は史上最多60本を打った13年のバレンティンを上回る本数だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

前半戦快進撃の原動力となったのは文句なく村上。前半戦で33本塁打は史上最多60本を打った13年のバレンティンを上回る本数だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

ヤクルト
56勝4敗1分 勝率.622(1位)
平均得点:4.48(1位)
平均失点:3.77(4位)
得失点差:+65(1位)

▼前半戦通信簿:よくできました
 7月上旬までは文句のつけようのない戦いぶりだった。4月末までは貯金3だったが5月は16勝7敗、そして6月は19勝4敗で貯金15は月間球団新記録。交流戦も優勝し、14カード連続勝ち越しという68年ぶりの記録も達成した。7月3日には早々に優勝マジック53が点灯。前半戦終了時点では41まで減らし、貯金22とセ・リーグで唯一勝ち越している。

 特に村上宗隆は、前半戦だけで33本塁打、89打点という驚異的な数字。それぞれ2位に12本、22点差をつけ、すでにMVPは決まったのではと思えるくらいの充実ぶりだ。塩見泰隆も首位打者争いに食い込む勢いで、WARは実は村上に匹敵する5.3(村上は5.9)。山田哲人も打率こそ低めだがOPS.840はリーグ6位。大砲のサンタナが長期欠場した影響はほとんどなかった。

 同じことが、新エースと期待された奥川恭伸を欠きながらもなお万全に近かった投手陣にも言える。規定投球回数に達しているのは小川泰弘だけでも、高橋奎二ら先発ローテーションは全員防御率3点台以下。リリーフでは、田口麗斗は投球回数が少ないとはいえ防御率0点台を維持している。守備陣も失策数はリーグ最少、逆に併殺完成数はトップと安定している。
 
▼後半戦のキーポイント
・独走状態で緊張感を持続できるか

 2位の阪神、広島にはすでに11ゲームと大差をつけていて、終盤まで阪神とマッチレースを演じた昨年と違い、明白な“敵”が不在になっている中で緊張感をどう持続させるかがテーマになる。7月に新型コロナで主力選手が大量離脱。勢いが止まってマジックもいったん消滅する事態に至ったのは、「何が起こるか分からない」との危機感を持たせる意味では悪くなかったかもしれない。

・投手陣の好成績はどこまで続く?

 投手陣には不安がないわけではない。被本塁打数が91本でリーグ最多、神宮では42試合で61本打たれている。狭い球場だからある程度は避け難いことではあるが、1試合平均1.45本は昨年の1.23本より悪化している。また、K%(奪三振/対戦打者)も16.9%でリーグ5位。これもあって、奪三振・与四球・被本塁打から算出するFIPはリーグ5位の4.03と、防御率(3.34)と比べて大きく乖離しており、今後の成績悪化が懸念される。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「トレード」総検証』(いずれも言視舎)。

データ提供:DELTA
 
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