テクノロジーの進化は球界にも小さくない影響を与えている。その代表例と言えるのが、今季からメジャーリーグで導入された“ピッチコム”の使用だろう。
2017年に行なわれたプレーオフでヒューストン・アストロズがサイン盗みを行なったと問題視されて以来、MLBは球界に暗い影を落とした問題の解決に奔走。そして導き出した答えの一つが「ピッチコム」だった。
今季から導入された同システムは、捕手が前腕に身に付けたリモコンの様なデバイスを操作してサインを送信。それをマウンド上の投手がそれを受け取るため、当事者間でしかサイン交換が見られない。ゆえにサイン盗みは軽減されたと言われている。
試合中のさまざまなノイズによって、サイン伝達の際に発せられる音声が聞き取りにくいなどの改善点は挙げられているものの、ここまでの評価は概ね良好。MLB通算222勝のザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)は「気に入っている」と満足感を示してもいる。
そんな新たなシステムの在り方に異を唱えたのは、球界屈指の剛腕マックス・シャーザーだ。現地時間7月27日に行なわれたニューヨーク・ヤンキースとの“サブウェイ・シリーズ”に登板した際に初めてピッチコムを使用した38歳は、「効果はあるだろう。そりゃね」とし、こう続けた。
「ただ、俺は禁止にするべきだと思う。野球の試合の中には持ち込んではいけない物だと思う。語弊はあるかもしれないが、サイン盗みは野球の一部だ。個人的に複雑なサインを使うこと自体には自負があったし、それが他の投手たちよりもアドバンテージになると考えていた」
おそらくシャーザーが説いているのは、アストロズが行なっていたとされる計画的かつ集団によるサイン盗みではなく、相手の癖や戦略を探る個々人による行為。それはあくまでゲームの醍醐味と言える「駆け引き」になるということではないだろうか。
いずれにしてもシャーザーの態度は明確だ。さらに「テクノロジーの導入で二塁走者はサインを盗めなくなり、投手はより難解なサインを使用することで生まれるアドバンテージもなくなる。誰かが相手のサインを攻略しようっていうのは、野球の一部なんだよ」と繰り返し、次のように言い残している。
「ちょっとでも球界をクリーンにする意味はあるかって? そうだとは思う。でも、俺は野球の魅力を奪ってしまう気もしてしまうね」
今後の使用については「引き続き検討はしていく。だから、使うかもしれないけど、分からないね」と漏らしたシャーザー。歯に衣着せぬ発言が時折、物議を醸す百戦錬磨のベテランだが、今回のコメントもまた小さくない影響をもたらしそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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今季から導入された同システムは、捕手が前腕に身に付けたリモコンの様なデバイスを操作してサインを送信。それをマウンド上の投手がそれを受け取るため、当事者間でしかサイン交換が見られない。ゆえにサイン盗みは軽減されたと言われている。
試合中のさまざまなノイズによって、サイン伝達の際に発せられる音声が聞き取りにくいなどの改善点は挙げられているものの、ここまでの評価は概ね良好。MLB通算222勝のザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)は「気に入っている」と満足感を示してもいる。
そんな新たなシステムの在り方に異を唱えたのは、球界屈指の剛腕マックス・シャーザーだ。現地時間7月27日に行なわれたニューヨーク・ヤンキースとの“サブウェイ・シリーズ”に登板した際に初めてピッチコムを使用した38歳は、「効果はあるだろう。そりゃね」とし、こう続けた。
「ただ、俺は禁止にするべきだと思う。野球の試合の中には持ち込んではいけない物だと思う。語弊はあるかもしれないが、サイン盗みは野球の一部だ。個人的に複雑なサインを使うこと自体には自負があったし、それが他の投手たちよりもアドバンテージになると考えていた」
おそらくシャーザーが説いているのは、アストロズが行なっていたとされる計画的かつ集団によるサイン盗みではなく、相手の癖や戦略を探る個々人による行為。それはあくまでゲームの醍醐味と言える「駆け引き」になるということではないだろうか。
いずれにしてもシャーザーの態度は明確だ。さらに「テクノロジーの導入で二塁走者はサインを盗めなくなり、投手はより難解なサインを使用することで生まれるアドバンテージもなくなる。誰かが相手のサインを攻略しようっていうのは、野球の一部なんだよ」と繰り返し、次のように言い残している。
「ちょっとでも球界をクリーンにする意味はあるかって? そうだとは思う。でも、俺は野球の魅力を奪ってしまう気もしてしまうね」
今後の使用については「引き続き検討はしていく。だから、使うかもしれないけど、分からないね」と漏らしたシャーザー。歯に衣着せぬ発言が時折、物議を醸す百戦錬磨のベテランだが、今回のコメントもまた小さくない影響をもたらしそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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