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高校野球

敗れはしても「今後も恐れず続けていく」――八戸学院光星、前人未到“5人継投”への挑戦<SLUGGER>

氏原英明

2022.08.13

先発した弟・比呂(右)とエースの歩人(左)の洗平兄弟を中心とする“5人継投”は、結果としては勝利に繋がらなかったが……。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

先発した弟・比呂(右)とエースの歩人(左)の洗平兄弟を中心とする“5人継投”は、結果としては勝利に繋がらなかったが……。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「甘くなかったです」

 指揮官の実感を込めた言葉が、甲子園で勝つ難しさを物語っていた。

 5人の小刻みな継投を武器にしていた八戸学院光星高が、まさかの逆転負けを喫して2回戦で姿を消した。4点リードをした6回から、持ち味の投手リレーに入ったものの、7回に4失点して同点に追いつかれると、延長10回裏にサヨナラ負けしたのだ。仲井宗基監督が言う。

「非常にいい試合を選手たちがやってくれましたが、結果として負けてしまい、私の力不足だったなと。まだ悔いています」

 試合は良い方向に進んでいた。

 先発には1年生左腕の洗平比呂を抜擢した。相手の愛工大名電高打線に左打者が6人いることから、仲井は1回戦を突破した翌日に決断したという。「左投手を苦手としているんじゃないかと踏んで、比呂にはその時に伝えました」
 
 これが奏功する。

 洗平比は初回に先制を許したものの、5回を70球、4安打4三振1失点に抑える好投を見せて先発の役割を果たしたのだ。体力的にもまだ続投可能だったが、ここで継投に入った。

 しかし、これがうまくいかない。仲井監督が「甘くない」と語ったのはここからの継投だった。

 6回から登板した2番手の宇田海希は1イニング目こそ無失点で切り抜けたが、抜け球が目立ち、7回に制球を乱してしまう。先頭の山田空暉を死球で出すと、5番・有馬伽久にライト前ヒットを浴びた。

 すると仲井監督はここで宇田を諦め、サウスポーの渡部和幹にスイッチした。左打線を考えての投手交代だったが、これもうまくいかない。6番・市橋昂士に走者一掃の適時三塁打を浴びる。続く美濃十飛にも中前適時打。犠打を挟んで、9番・藤山航平、1番・加藤蓮に連打を浴びて同点とされてしまったのだ。

 先発の洗平比のデキが良かっただけに、継投策が裏目に出た形だった。
 
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