ハイレベルすぎるがゆえに議論は白熱している。アーロン・ジャッジ（ニューヨーク・ヤンキース）と大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）がトップ争いを繰り広げている今季のア・リーグMVPレースだ。

　現地時間８月29日から始まったエンジェルスが本拠地にヤンキースを迎え撃った３連戦は、まさに“直接対決”。試合前からジャッジと大谷にかなりの注目度が集まっていたが、両雄が期待に応えるように異彩を放った。

　ジャッジが３試合で打率.444（13打数４安打）、２本塁打、４打点と活躍。８月29日の試合では史上10人目となる複数シーズンでの50号にも到達した。一方、３試合中２試合でマルチ安打を記録した大谷は、打率.417（12打数５安打）、２本塁打、５打点と大暴れ。エンジェルスの同シリーズ勝ち越しに貢献した。

　個人の活躍に焦点を当てれば、どちらも甲乙つけがたい。だからこそ、MVPを巡る論争は混迷を深め、ヒートアップしている。米放送局『ESPN』やニューヨークの地元局『Yes Network』でコメンタリーを務めているライアン・ルオッコ氏は自身のツイッターで「ジャッジこそがMVPだ。それは私の記憶がある限りは当然の選択だ」と皮肉交じりに投稿した。
  　もっとも、６月ごろからシーズン63本ペースで本塁打を量産するジャッジを推す声は根強かった。ヤンキースが首位を快走してきた影響もあって、「今年はジャッジだね」といった空気が流れていた。

　しかし、ここにきて、二刀流戦士の奮闘がそれを覆そうとしている感がある。米メディア『Sporting News』のライターで、MVP投票権を持つライアン・ファガン記者は、現地31日の試合で、ヤンキースのエースであるゲリット・コールから決勝３ランを放った活躍を受け、こう持論を展開した。

「他のピッチャーがコールからここまでかっ飛ばせるかを想像してみてくれ。それは間違いなくキャリアのハイライトになるはずだ。でも、オオタニにとってはいつもより少しだけマシな水曜日にすぎないんだ。オオタニという選手を決して当たり前だと思ってはいけない」

　果たして、どちらがMVPという栄冠を手にするのか。その行方には文字通り世界が注目している。

構成●THE DIGEST編集部

【関連記事】「イチローを超える可能性がある」大谷翔平に30号を許したコールの３年前の“予言”。 球界屈指の右腕が語る偉才の凄さとは

【関連記事】「99.99%、ジャッジだ！」米記者はMVPレースのほぼ終焉を宣言。大谷翔平を推さない理由はやっぱり本塁打に？

【関連記事】神様ルースに続いたジャッジの“歴史的一発”は「オオタニに台無しにされた」。NY紙が大谷翔平の特大弾に落胆