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「事実上の戦力外」なのに、なぜ澤村拓一はレッドソックスに残留した?MLBの「DFA制度」を徹底解説!<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.09.04

レッドソックスから「事実上の戦力外」になりながらも、数日後にマイナー落ちが報道された澤村。いったいなぜ彼はチームに残れたのか?(C)Getty Images

レッドソックスから「事実上の戦力外」になりながらも、数日後にマイナー落ちが報道された澤村。いったいなぜ彼はチームに残れたのか?(C)Getty Images

 現地時間8月28日、レッドソックスの澤村拓一がDFAとなった。

 これを日本では「事実上の戦力外」と報じたメディアが多かったが、澤村は31日になり、3Aウースターへの降格が発表された。「戦力外」なのに、なぜ彼がレッドソックスの組織内に残留できたのか。おそらく首をかしげたファンもいるだろう。そこで、DFAの複雑な仕組みを改めて説明しよう。

 DFAは「Designated For Assignment」の略で、具体的には「選手を40人ロースターから外す手続き」を意味する。40人ロースターは、日本で言えば「支配下登録枠」のようなもので、MLBの試合に出場するためには40人ロースターに入っていなければならない。球団はこの40人から、メジャーの試合に出場できる26人を選び(26人ロースター。一軍登録のようなもの)、残りの選手をマイナーに配属する。

 40人枠外の若手有望株をメジャーに昇格させたい場合や、トレードで他球団から新たに選手を獲得した場合は、40人枠の誰かと入れ替える必要がある。この時、DFAとなって40人枠から外された選手はメジャーの試合に出場できなくなるため、日本では「事実上の戦力外」という表現が使われている。
 
 複雑なのはここからだ。球団はDFAにした選手を7日以内にトレードに出すか、もしくはウェーバー公示をする。ウェーバーで他球団から獲得の申し込みがあった場合は、いくらかの手数料と引き換えに選手を譲渡しなければならない。どの球団からも声がかからなかった場合、今回の澤村のようにマイナー降格を受け入れる場合もあれば、それを拒否してFAとなる場合もある。

 ここまで長々と説明をしてきたが、DFAになった選手が具体的にどうなるのか、分かりやすく実例を挙げてみよう。大まかに分けて3つのパターンがある。

1:ウェーバー/トレードで他球団へ移籍

 まずひとつは、先ほど述べたようにウェーバーやトレードを経て他球団に移籍する道だ。レッドソックスは澤村と同じ日にリリーフ左腕のオースティン・デービスをDFAとしたが、こちらはウェーバーでツインズへ移籍した。

 デービスのような便利屋リリーフや「一軍半」のユーティリティ・プレーヤーは、DFAで移籍するケースが多い。たとえば、内野全ポジションをこなす台湾出身のチャン・ユーは、今季開幕時点はガーディアンズにいたが、5月末にDFA経由の金銭トレードでパイレーツへ移籍。その1か月後には再びDFAとなって今度はウェーバーでレイズへ移籍。すでに今季だけで3チームに所属している。
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