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MLB

MVP男・アルトゥーベを笑わせた99マイルの魔球。“規格外”な大谷翔平に元捕手の米解説者も困惑「たまったもんじゃない」

THE DIGEST編集部

2022.09.11

160キロを超える直球を投げたかと思えば、落差の大きい変化球も投じた大谷。このピッチングにアストロズの打者はこぞって翻弄された。(C)Getty Images

160キロを超える直球を投げたかと思えば、落差の大きい変化球も投じた大谷。このピッチングにアストロズの打者はこぞって翻弄された。(C)Getty Images

 思わずバッターが苦笑いをしてしまうほどのキレ味だった。

 現地時間9月10日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、敵地で行なわれたヒューストン・アストロズ戦に「3番・DH兼投手」で先発登板。5回(79球)、7奪三振、被安打6、1失点と好投した。

 6回の投球練習中に右手人差し指のマメが潰れ、「深刻になる前に代わった」(試合後の本人談)と緊急降板を自ら決断。無念の交代となった大谷だが、それでも6対1のチームの勝利に貢献し、シーズン自己最多を更新する今季12勝目(8敗)をマークした。

 圧巻だったのは、今夏から新たに実戦で導入した高速シンカーだ。一部で“ターボシンカー”とも称されるボールは今日もアストロズの各打者を翻弄した。とりわけ1番打者のホセ・アルトゥーベには効果抜群だった。

 2017年にアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)との接戦を制してMVPに輝いた右の巧打者に、二刀流の偉才は「投球を楽しくするために必要」と手ごたえを口にする“ターボシンカー”で挑んだ。
 
 3回裏に2度目の対決を迎えると、大谷はカウント1-1から3球目に、99マイル(約159.3キロ)のシンカーを投じる。ボールは17インチ(約43.2センチ)も曲がって、内角に食い込む。これにはアルトゥーベも耐え切れずに空振り。「いったい今のボールは何だ」と言わんばかりに目を丸くしながら苦笑いを浮かべた。

 結局、この打席はスライダーで空振り三振に抑えると、3度目の対戦となった5回裏の打席でも大谷は、2球連続で90マイル後半のシンカーを振らせて追い込む。最後は99.5マイル(約160.1キロ)の4シームで空振り三振に切って取った。

 アルトゥーベに圧倒的な支配力を見せつけた“魔球”。これに現地のコメンタリーも動揺する。この日、全米に中継された米放送局『FOX Sports』の解説を務めた元シカゴ・ホワイトソックスのAJ・ピアジンスキーは「これだけの“スプリット”を見せつけられたら、たまったもんじゃない。アルトゥーベの表情が全てを物語るね」と、その落差からシンカーではなくスプリットと勘違いして分析した。

 かつてメジャーで19年間、主に捕手としてプレーした名手も惑わす大谷の一球。「ピッチングニンジャ」として知られる投球分析家のロブ・フリードマン氏も「私も99マイルと表示されていなかったらスプリットだと勘違いしていたと思う」「本当にとんでもないシンカーだ」と、自身のツイッターに賛辞を並べた。

 鵜の目鷹の目の現地識者たちも把握しきれないボールを多彩に操る「投手・大谷」。その規格外ぶりには、ただただ驚くばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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