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MLB

チーム状況ありきの評価は正しいのか。大谷翔平vsジャッジのMVP論争に違和感。全米野球記者協会の“定義”は?

THE DIGEST編集部

2022.09.16

大谷(右)とジャッジ(左)のMVPレースは、歴史的にも稀な高次元の争いとなっている。それだけに評価は分かれ、さまざまな意見があがっている。(C)Getty Images

大谷(右)とジャッジ(左)のMVPレースは、歴史的にも稀な高次元の争いとなっている。それだけに評価は分かれ、さまざまな意見があがっている。(C)Getty Images

「ヤンキースは地区首位で、エンジェルスは負け越しだ」
「ジャッジはプレーオフ進出を争うプレッシャーがあり、オオタニはそうではない」

 これは、今年のメジャーリーグにおけるレギュラーシーズンの終幕が近づくなかで、主にSNSでしきりに強調される言葉である。いずれも大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)とアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の一騎打ちの様相を呈しているア・リーグMVP争いを巡る論争のなかで、後者を推す識者やファンが訴える理由のひとつだ。

 たしかにそうではある。ヤンキースは、強豪がひしめくア・リーグ東地区で堂々の首位。オールスター明けの後半戦は23勝28敗と負け越してはいるが、依然として地区優勝が最も近い位置にいる。一方でエンジェルスはア・リーグ西地区で首位から32ゲーム差の5位。現地時間9月14日には、7年連続でのシーズン負け越しが決定した。

 だが、MVPとは個人の力量を称するものであるはず。チーム状況よりも個々の純然たる成績を評価するべきである。実際、選出の投票権を持つ全米野球記者協会(BBWA)は、「MVPの定義」について、次のように明記している。

「Most Valuable(最も価値がある)とは何か。そこに明確な定義はない。各リーグで誰が自チームにとって最も価値ある選手であったかを決めるのは、投票者個人にかかっている。そして、チームにおける選手が攻守にもたらす価値、出場試合数、性格、気質、忠誠心、努力、過去に受賞した選手も対象として、選出する」
 
 つまり、MVPはチームの結果以上に個々の力を評価するものである。無論、その点で見ても、今年のジャッジが明らかに劣っているというわけではない。ア・リーグのシーズン記録更新に迫る57本塁打はやはり凄まじい。だが、「ヤンキースは優勝争いをしていて、エンジェルスは下位だ」という理由で、大谷の評価が下がるのは違和感を覚えずにはいられない。

 これについて、投球分析家のロブ・フリードマン氏が、自身のツイッターで興味深く論じていた。「ピッチングニンジャ」として知られる彼は、「彼(大谷)のチームは、勝率5割ですら18ゲーム差もある。素晴らしい選手だが、チームの結果に影響をもたらした選手にMVPは与えられるべき」というフォロワーからの問いに、こう切り返してみせた。

「たとえ、土台となるリングがプラスチック製であっても、“最も価値のある”ダイヤモンドに変わりはない」

 もはや、ジャッジと大谷のどちらがMVPにふさわしいのかという議論は尽きない。いずれにしろ、例年以上に混沌としてきているだけに、チーム成績が強調される形で判断されないことを願うばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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