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MLB

「ジャッジは甘い球が多いから打てる」は誤り。他の誰よりも“誤審”と戦いながら三冠王も狙う凄み<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.09.23

「ジャッジは甘い球が多いから本塁打が多い」のは本当なのか。さまざまなデータで浮かんだ“実態”とは?(C)Getty Images

「ジャッジは甘い球が多いから本塁打が多い」のは本当なのか。さまざまなデータで浮かんだ“実態”とは?(C)Getty Images

 現地9月20日、ヤンキースのアーロン・ジャッジは本拠地で行われたパイレーツ戦の9回にソロ本塁打を叩き込み、ベーブ・ルース、ロジャー・マリス、マーク・マグワイア、サミー・ソーサ、バリー・ボンズに次いで史上6人目のシーズン60号を達成した。

 さらにこの時点で打率.316とし、本塁打、打点(128)と並んで打撃3部門でリーグトップに立った。2012年のミゲル・カブレラ(タイガース)以来、史上16人目の三冠王も視野に入り、大谷翔平(エンジェルス)とのMVP争いでも大きなリードを得たように見える。

【動画】ジャッジが“甘い球”を仕留めて60号の大台に到達!

 ジャッジが歴史的な活躍を見せる一方で、大谷も規定打席&規定投球回という前人未到の偉業を達成する可能性を残している。チームが低迷しながらも2年連続のMVPも狙えるとあって、大谷への(日本での)注目度も昨年同様に高まっているが、これが“大谷のライバル”ジャッジへのある種、不当な評価にもつながっているように思う。
 
「ジャッジが達成したことは過去にも誰かが達成している。本塁打数もメジャー記録は狙えない」「ジャッジは投手をしていない」「ジャッジのWAR(勝利貢献度)は1位でも、二刀流の評価が正当に反映できていない」といったコメントが散見される。そして数日前、データ会社『Codify』のあるツイートが波紋を呼んだ。

 同社のアカウントは20日、「投手は今季アーロン・ジャッジに654球を真ん中付近(the heart of zone)に投じている。これより多く投じられた打者は8人のみ。(中略)ジャッジの本塁打のうち41本がこのゾーンで記録されている」とつぶやいた。

 これを受け、日本の複数のスポーツメディアは「ジャッジには“甘い球”が多いから本塁打を量産できている」とした記事を掲載した。まるで、ジャッジにMVPを取らせたいがためにわざと甘いボールを投げている、という風に解釈できなくもない。
 
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