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MLB

彼らはまだ折れてはいない――「異国のプロ野球への適応」に取り組む鈴木誠也と筒香嘉智の「リアルな今」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.09.22

ともに侍ジャパンの4番を務めた鈴木(左)と筒香(右)。これまでの実績にあぐらをかくことなく、異国の地で奮闘している。写真:Getty Images、産経新聞社

ともに侍ジャパンの4番を務めた鈴木(左)と筒香(右)。これまでの実績にあぐらをかくことなく、異国の地で奮闘している。写真:Getty Images、産経新聞社

 マサチューセッツ州ウースターに建てられたポーラー・パークは、レッドソックス傘下3Aウースター・レッドソックスの本拠地として、2021年に開場した収容人員1万人足らずの小綺麗な球場だ。親チーム=レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークとは正反対に、レフトに比べてライトまでの距離が近いため、右翼側に濃紺の巨大なフェンスが設置されているのが特徴である。

 8月30日火曜日の昼下がり、そこにやって来たのは、ブルージェイズ傘下バッファロー・バイソンズの筒香嘉智選手だった。

「最初はちょっとキツイっていうか、ひっさしぶりに守ったんで、一塁とは全然、違う場所に張りが出ましたよ」と彼は言った。苦笑いしながらもどこか、楽し気な感じがする。「ひっさしぶり」と強調した部分に、パイレーツ時代のような一塁手ではなく、外野手として出場し続けているリアルな「今」が感じられた。

「マシンとかノックの球を取るぐらいは何ともないんですけど、(バットに)当たった瞬間の前か後ろかっていうのがまだぎこちないというか、瞬間的に分からない時がある。去年、(ドジャース傘下)オクラホマシティから上がった時、守備だけじゃなく、メジャーでは(照明が明るく)打席でもボールが見やすいなって感覚になったんですが、外野を守ってみて(マイナーの照明は)本当に暗いなと思います」
 
 日本プロ野球出身の選手がメジャーリーグで自由契約になる度、我々メディアは、「日本球界復帰も視野?」という原稿を書く。本人の意向をまったく反映しない、「一つの可能性」としての話なのだが、実際、秋山翔吾(現広島)のようにそうなったケースもある。筒香がパイレーツから自由契約になったのは日本プロ野球の移籍期限の後だから、シーズン中に帰国する可能性は最初からなかったわけだが、今オフを含む「今後」の動向が気になる。

「来年のことはまったく考えず、今年メジャーに戻るにはブルージェイズが一番という判断でしたね。(メジャーに昇格できるかどうかは)僕にはどうしても左右できない部分がある。もちろん、打ってなければ上に呼ばれる可能性はゼロなんですけど、打っていてもチーム事情で呼ばれないこともあるし、その辺は今、マイナーにいる現状で、出来ることを毎日やるだけかな」

 筒香の「メジャー挑戦」は、すでに山あり谷ありとなっている。DeNAからレイズへ移籍した20年、パンデミックにより大幅短縮された公式戦60試合で、いきなりリーグ優勝、ワールドシリーズ出場を果たした。ドジャースにトレードされた2年目は打撃不振もあって自由契約となったものの、新天地パイレーツでは43試合で打率.268、8本塁打、25打点、OPS.883と、侍ジャパンの主砲の実力を発揮した。
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