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プロ野球

最多本塁打11本の近藤健介が超大型契約を提示される「理由」。日本ハムは“絶望的な課題”を克服できるか

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.11.23

大型契約をゲットすることが濃厚な近藤。なぜパワーレスな外野手がこれだけの評価をされているのだろうか。写真:山手琢也

大型契約をゲットすることが濃厚な近藤。なぜパワーレスな外野手がこれだけの評価をされているのだろうか。写真:山手琢也

 森友哉が西武からオリックスへの移籍を決めたことで、プロ野球のFA市場に残る“大物”は近藤健介だ。日本ハムで活躍した左の好打者を巡っては、西武やロッテ、ソフトバンクなどパ・リーグ球団が大型契約を提示し、その去就に注目が集まっている。

 近藤は最高出塁率のタイトルを2回獲得している一方で、広い札幌ドームの影響もあって2ケタ本塁打はレギュラー定着後の9年間でわずか一度(2021年)。プロ入り時の捕手ではいざ知らず、外野手や指名打者がメインの選手としては物足りないと思われても仕方あるまい。この点だけを見れば、「なぜ20億以上の契約を与えようとしているのだろう?」と思うファンもいるだろう。

 しかし近藤という選手は、野球という競技の根本において“最も大事”とも言える能力を体現した存在なのである。

 そもそも、野球の勝敗は試合終了時(以降は9回とする)に多くの得点を奪ったチームが勝利となる。相手をゼロに抑えても、自チームが1点も取れなければ勝てないわけで、「勝利投手」が特にアメリカであまり評価されないのは、チームの勝利は投手自身が必ずしも管理できる領域ではないからである。
 
 では、どうしたら得点が取れるのだろうか。ホームを含めた4つの塁を踏むことで点になるから、一気に4つ進めるホームランは得点に直結するし、同じ安打数でも長打が多い選手の方が評価は高くなるのは当然。まさに「長打こそ正義」だ。加えて根源的に大事なことはもう一つある。「アウトにならない」ことである。

 野球という競技は、27個目のアウトが取られるまでは永遠に攻撃することができる。出塁率10割の選手はまさに“無敵”。もっとも、そんなことは不可能ではあるけれども、2000年代にセイバーメトリクスがMLBで急速に浸透していく中、打率・本塁打・打点という旧来の指標が優秀な選手よりも、出塁率の高い選手が評価されるようになっていった。そして近藤は、この出塁能力がまさに球界最高レベルに位置している。

 2度のタイトル獲得を含め、近藤の通算出塁率は.413。通算打率.307より1割以上高い数字で、直近6年に限れば.444(!)にまで達している。得てして、出塁率は強打者になれば必然として高くなる。長打を避けようとボールゾーンに投げることが多いためだが、先に言及したように近藤は決してパワータイプではない。にもかかわらず、これだけの出塁率を叩き出せるというのは、選球眼がいかに図抜けているかを示している。

【動画】“FAの目玉”・近藤健介がサヨナラホームラン! 会心の一撃をチェック
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