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MLB

「エンジェルスはなぜ弱いのか?」来日したベテラン番記者が考えるチームの課題と改善策。そして「外野手・大谷」の実現性は?<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.08

エンジェルスと大谷の契約は23年まで。果たして“ラストイヤー”の戦い方とは?(C)Getty Images

エンジェルスと大谷の契約は23年まで。果たして“ラストイヤー”の戦い方とは?(C)Getty Images

 ロサンゼルス・エンジェルスの地元紙『Orange County Register』紙のエンジェルス番記者で、大谷翔平の渡米4年間の活躍を振り返った書籍『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』の著者でもあるジェフ・フレッチャー氏が11月下旬に来日し、インタビューに応じてくれた。

 大谷が「ヒリヒリした9月を過ごしたい」と語っているのとは対照的に、ここ数年は不甲斐ない結果が続いているエンジェルス。チームの課題と、それをどう改善すべきかについて、同氏はどう考えているのだろうかを訊いた。

――◆―――◆――

――エンジェルスには大谷とマイク・トラウトというスーパースター才能が2人もいるのに、過去5年はいずれも負け越しでした。なぜこれほどまでに勝てないのでしょうか? 世界一に輝いた同地区のアストロズとの最大の違いは何ですか?

「エンジェルスの最大の問題は、ファーム組織で若手選手を十分に育成できていないことだ。それが、ここ10年以上にわたって改善すべき問題であり続けている。逆に、アストロズは育成面において大きなアドバンテージを持っているというのが、エンジェルスとの最大の違いでもある。

 また、エンジェルスはラテンアメリカ、たとえばベネズエラやドミニカ共和国といった国から、才能ある選手をスカウトする努力をまったくしてこなかった。資金的にも、技術的にも、その方面にはまったくリソースを投入しておらず、膨大な数のプロスペクトを逃してきてしまったんだ」

 
――選手総年俸では、エンジェルスとアストロズはそれほど違いがありません。にもかかわらず結果がこれほど違うのは……

「それも、アストロズが優れた若手選手を何人も育成してきたからだ。彼らは費やしたサラリー以上に大きな貢献をしてくれている。対してエンジェルスはトラウトや(アンソニー・)レンドーンら一部のスーパースターとの大型契約が総年俸の大きな割合を占めている。このため、若い才能を多く獲得するだけの予算の柔軟性がないんだ。

 このような状況であれば、本来は育成によって“安い戦力”を生み出すべきだが、エンジェルスにはそれもできなかった。そうした中で、今季はさらにレンドーンやトラウトの故障も重なって、彼らの穴を埋める選手を外部に求めたため、余計に予算がかかってしまった。それに、ファーム組織が枯渇しているということは、トレードに出せる若手が少ないということでもある。この問題は2023年も課題として残るだろうね」


――エンジェルスのマイナー組織は球界ワーストクラスという評価もあります。そんななかでも注目しているプロスペクトはいますか?

「ローガン・オホッピーだね。それに、21年ドラフト2巡目で指名した左腕投手のカイ・ブッシュ。後は、今季前半戦にメジャーで7試合に先発したチェイス・シルセス。この3人は将来のチームの中心的存在になるだろうし、23年にも大きな影響を与える存在だと思う」
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