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MLB

「本当に野球界のために」カーショウら出場辞退者相次ぐWBC保険の壁。侍J栗山英樹監督も本音を吐露

THE DIGEST編集部

2023.02.20

連覇を狙ったアメリカ代表のエース候補だったカーショウ(左)は、代表不参加が決定。この一報に栗山監督(右)も意見した。(C)Getty Images、写真:梅月智史

連覇を狙ったアメリカ代表のエース候補だったカーショウ(左)は、代表不参加が決定。この一報に栗山監督(右)も意見した。(C)Getty Images、写真:梅月智史

 去る2月17日、驚きの一報が舞い込んだ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアメリカ代表参加を表明していたクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)の出場辞退が決定したのである。

 メジャー通算197勝を誇るカーショウは“現役最高投手”と言っても過言ではない。34歳ながら昨季は12勝(3敗)、防御率2.28と安定した投球を披露。通算の防御率に至っては、長い歴史を誇るMLB全体(※2000投球回以上)でも20位の好成績。当然、現役選手ではトップの数値だ。

 WBC連覇を目論んでいた今大会のアメリカ代表は、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)やムーキー・ベッツ(ドジャース)などスーパースターが相次いで参戦を表明。そのなかで34歳になるベテラン左腕も世界一へ意気込んでいたが、無念の不参加を余儀なくされた。

 本人は出場意欲に満ち満ちていた。不参加が決定した直後の会見で「イライラさせられている」と吐露。さらに「今の僕は100%健康なんだ。問題がないんだよ。『出たい』と思う選手は出場させてほしい」と痛切に訴えた。

 ではなぜ、WBCを断念したのか。最大の理由として挙げられているのが、出場のために必要な保険の審査に落ちたというものだ。地元紙『LA Times』などの報道によれば、カーショウは、個人で別の保険に加入して大会出場の道を模索するも、国内での料金が「想像を絶するほど高額」だったために諦めざるを得なかったという。

 実は保険の“壁”に阻まれ、WBC出場を諦めた選手は少なくない。『LA Times』は、ネイサン・イオバルディ(テキサス・レンジャーズ)、ブルスダー・グラテロル(ドジャース)も加入できずに辞退したと報じている。
 
 野球を広めよう――。そんな狙いもあって始まったWBCだが、出場意欲の高い実力派の選手たちが簡単に出られない状況下に陥っている。この由々しき事態には、侍ジャパンを率いる栗山英樹監督も苦言を呈している。

 かく言う日本も例外ではない。練習参加に関してはクリアとなったものの、メジャー組は2月25、26日のソフトバンク戦、3月3、4日の中日戦には出場できない。

 2月19日の取材の場で、61歳の指揮官は「この大会を良くするために、『次の大会からこれはこうじゃないとダメ』ということをすごく言ってる」と告白。そして、「これは本当に野球界のためなので」と運営への切実な要望を続けた。

「練習試合にもっとメジャーリーガーが出られるんだったら、(米国代表を辞退した)カーショーの問題もそうだし、こっちもいろいろあったんで、これは本当に、あの問題はいろいろあったんで……」

 現場からは「もっと物事を簡単にしてほしい」という声が聞こえてくる。はたして、WBCは改善に向けて動き出すだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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