今回のワールド・ベースボール・クラシック（WBC）を象徴する感動エピソードのひとつが、広く世界に打電された。

　３月13日早朝、日本代表の佐々木朗希が両手いっぱいのお菓子を持ってチェコ代表の宿舎を訪問。チームバスに乗り込む選手たちを出待ちし、内野手のウィリー・エスカラにあらためて謝罪の意を示した。前日の試合で自身が放った162キロの速球がエスカラの左膝を直撃。佐々木は和気あいあいとした雰囲気で談笑しながら、「コアラのマーチ」や「パイの実」などがたくさん入ったお菓子の袋をプレゼントしたという。

　これを受けて、月曜日の豪州戦に臨む前にエスカラがインスタグラムを更新。佐々木とのツーショットを公開しつつ、「ありがとう朗希！ 残りのトーナメントでの日本の幸運を祈っているよ！」とエールを贈り、ストーリーでも「Samurai Spirit」と発信した。
  　さらにMLB公式サイトでは、マイケル・クレア記者が「佐々木がお菓子で謝罪」と題してコラムを掲載。朝の場面を目撃したチェコ代表主将、ペトル・ジーマ内野手のコメントを紹介している。「あれは本当に信じられないひと時だった」と称え、次のように言葉を続けた。

「来日してからというもの、毎日のようにここ日本の文化に魅了され続けてきた。スーパースターである朗希の行動を観て、あらためて次元が違うんだと認識させられたよ。彼はわざわざ時間を使って僕たちのバスのところまでやって来て、エスカラと対面し、束になったキャンディ（お菓子）を手渡してくれたんだ。そして、ウィリー（エスカラの愛称）にサインボールもね。特大のリスペクトを評したいと思う」

　オーストラリアとの最終戦に３対８で敗れて１勝３敗となり、１次ラウンドのプールＢを４位で終えたチェコ代表。紳士的な振る舞いと溌溂としたプレーを随所で披露して東京ドームのファンを虜にし、初出場のWBCで数多の忘れられないエピソードを提供してくれた。

構成●THE DIGEST編集部

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