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侍ジャパン

「最後、お前で勝つよ」不振の村上宗隆を信じ続けた栗山英樹監督の意地。侍ジャパンに決勝の切符を呼び込んだ采配【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.21

仲間の抱擁を振りほどきそうな勢いで感情を爆発させた村上。彼がどれだけ苦しんでいたかは、その表情が物語る。(C)Getty Images

仲間の抱擁を振りほどきそうな勢いで感情を爆発させた村上。彼がどれだけ苦しんでいたかは、その表情が物語る。(C)Getty Images

 指揮官が信じ抜いたからこそ生まれた殊勲打だった。

 現地3月21日に行なわれたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝で日本代表はメキシコと対戦。最終回までリードを許す苦闘を余儀なくされたが、9回裏に無死一、二塁から村上宗隆(ヤクルト)が起死回生の逆転サヨナラタイムリーを放ち、6対5で勝利した。

 最後はスランプに陥っていた主砲が決めた。

 4対5と1点ビハインドで迎えた侍ジャパンは先頭の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)がメキシコの抑えの切り札ジオバニー・ガイエゴス(セントルイス・カーディナルス)から二塁打を放ち出塁。さらに吉田正尚(ボストン・レッドソックス)が四球を選んで無死一、二塁とすると、ここで打席に立ったのは村上だった。

 この日は4打数ノーヒット、うち3打席で三振を全く当たっていなかった。それでもこれ以上ないお膳立てに「何度も悔しい思いをして、そのなかで何度も仲間が助けてくれた」と背番号55は奮起した。

 打ちごろの球を着実に見極めると、カウント1-1からガジェゴスがインハイに投じた151キロの4シームを強振。センター方向へ高々舞い上がった打球は、あっという間に相手外野手の頭上を越えると、これが走者一掃のサヨナラタイムリーとなった。
 
 文字通りの劇的な展開に指揮官も感極まった。試合後の会見に登場した栗山英樹監督は、涙ながらに「野球ってすげえなって。見てる人も野球ってすげえと思ったと思う」と振り返り、覚悟を決めて送り出した村上に言葉を寄せた。

「最後打ちましたけど、本人の中ではチームに迷惑かけている感じしかないと思う。まだ、あんなバッターではない。世界をびっくりさせるバッターであると僕は信じてきたので。今日は良かったですけど本人は悔しいんじゃないかなと思います。本人には『最後、お前で勝つ』って言ってきたんで」

 信じてきたという言葉にあるように、栗山監督はどんな時も村上への揺るぎない信頼を公言してきた。打率1割台と低迷して周囲の喧騒が激しくなろうとも「お前に任せたよ」と23歳の若き主砲に発破をかけ続けてきた。今回の結果は我慢強い采配の賜物と言えるのではないだろうか。

 もっとも、大会前から世界一を公言してきた栗山監督が目指すのは、優勝ただ一つ。その目標を達成するのは、明日に行なわれるアメリカとの大一番に勝つ必要がある。ゆえに緊張感のある時間は続くが、これは61歳の指揮官とっては願ってもない舞台だろう。昨年12月の記者会見では「何が何でもアメリカを倒すんだ、しかない。絶対最後まで行けば、アメリカが出てくるはずと信じているので。こっちが行かなきゃ倒せないっていうふうに思っている」と語っていた。

 東洋の島国が、“野球の本場”でアメリカを打ち破る――。その歴史的な瞬間は訪れるのか。現地時間3月21日(日本時間22日)の決戦が見逃せない。

構成●THE DIGEST編集部

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