専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
侍ジャパン

転機となった“宇田川会”とダルビッシュ有の存在。時の人となった宇田川優希が振り返った日の丸を背負った日々【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.23

高いポテンシャルを買われ、WBCの代表メンバーに選出された宇田川。しかし、当初の本人は決して乗り気ではなかった。写真:梅月智史

高いポテンシャルを買われ、WBCの代表メンバーに選出された宇田川。しかし、当初の本人は決して乗り気ではなかった。写真:梅月智史

 世界一をかけて侍たちは死力を尽くして戦い抜いた。選ばれた30人の選手たちはハイレベルな野球に浸り続けた。

 そのなかで昨季に育成枠からプロの一線級に這い上がってきたばかりの宇田川優希(オリックス)にとって、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制した日本代表での時間は苦しくもあり、大きな成長を果たせた時でもあった。

 もっとも、最初は参加に戸惑った。

 昨年7月に支配下登録されてから19試合に登板して防御率0.81とポテンシャルを発揮したオリックスで披露した実力を評価され、日本代表入りを叶えた宇田川。しかし、「自分から行くようなタイプではない」と本人が語るように2月17日から始まった宮崎での春季キャンプは人見知りの性分も相まって、周囲へ必要以上に気を遣った。

 さらに今春はオリックスでの球団キャンプで中嶋聡監督から減量を厳命されたうえに、通常よりも滑るとされるWBC球への適応も求められ、心身ともに負担がかかっていた。

「気疲れもあります」
 
 そうメディアに本音を漏らしたこともあった。

 必要以上に注目を浴びる代表という舞台に気おされていた。そんな24歳をプレッシャーから解放したのは、チーム最年長のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)だった。

 メジャーリーガーで唯一、宮崎合宿から代表に帯同していた36歳は「1年前までは育成で、そこからいきなり侍ジャパン。それなのに、ここでも減量だとか、ボールがどうだとかと言われてしまう。それだとあまりにも一人の人間が背負うには大きすぎる」と宇田川を気にかけ、積極的にコミュニケーションを図っては自然にチームに溶け込ませた。SNSやネットでも話題となった「宇田川会」は、他でもないダルビッシュが率先して催したものだった。

 世界最高峰の舞台で活躍する大ベテランの心づかいもあって、みるみるうちに侍ジャパンのなかでも“時の人”となった宇田川。迎えたWBC本番では韓国代表との大一番を含めた2試合に登板して無失点。対戦した打者4人のうち3人から奪三振を記録するポテンシャルは見せた。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号