球界で「唯一無二」と言われる大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）の異能ぶりには、世界中から脚光が集まっている。

　先のワールド・ベースボール・クラシック（WBC）での活躍は、文字通り世界を熱狂させた。大会史上初の二刀流での出場を飾った大谷は投打で活躍。打っては打率.435、１本塁打、OPS1.345をマーク。投げても決勝の中継ぎ登板を含む３試合（9.2回）に投げ、２勝、１セーブ、防御率1.86、WHIP0.72と圧巻のパフォーマンスを披露したのである。

　文句なしで大会MVPも受賞し、現球界ナンバーワンと称される天才たる矜持を示した。いまやスポーツ界全体で見てもトップクラスの知名度を誇る大谷の存在は、野球文化のあまり根付いていないオーストリアでも話題となっているようだ。

　現地３月30日、オーストリアの日刊紙『Kronen Zeitung』は、「リオネル・メッシとマヌエル・ノイアーをたった一人で表現する男、ショウヘイ・オオタニ」と銘打った特集記事を配信。球史に名を刻む活躍を続ける28歳の日本人プレーヤーを褒めちぎった。

　まず、同紙はバスケットボール界にマイケル・ジョーダン、サッカー界ではリオネル・メッシとクリスチアーノ・ロナウドなど各スポーツ界には「顔となる存在がいる」と指摘。そのうえで野球界における顔が「ショウヘイ・オオタニだ。メジャーリーグでは100年前のベーブ・ルースの時代から彼のような選手は存在しなかったのだ」と論じた。

「偉大なレジェンドに肩を並べるオオタニは、リーグ屈指の打者であると同時に、投手としても秀でた才能を持っている。サッカーで言えば、世界最高のアタッカーでありながら、あゴールキーパーとしての力も同等に優れている。まさにリオネル・メッシとマヌエル・ノイアーが１人の人間になったようなものである」
  　さらに同紙は今季終了後にフリーエージェントとなる去就もふまえて、次のようにも続けている。

「マルチな才能を持つオオタニを迎え入れるために、他球団が6億ドルの契約を準備していると憶測が流れている。スポーツ界でこれほどの大型契約を受けたのはメッシだけだ」

　サッカー界における例えが正しいかは難しいところだ。しかし、野球に関する知識が薄いであろう『Kronen Zeitung』にとってみれば、スポーツ界での大谷の存在が計り知れないと表現したいのかもしれない。

　いずれにしても、大谷が提供する話題は、いまや野球人気のある日本とアメリカだけでなく、ヨーロッパにまで広まっている。

構成●THE DIGEST編集部

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