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プロ野球

【現役ドラフトを考える Vol.1】MLBでは「飼い殺し防止策」が機能。サイ・ヤング賞投手輩出の例も

出野哲也

2019.12.16

魔球チェンジアップで一時代を築いたサンタナはルール5ドラフトでチームを移った後に大成した。(C)Getty Images

魔球チェンジアップで一時代を築いたサンタナはルール5ドラフトでチームを移った後に大成した。(C)Getty Images

●埋もれた選手を発掘する必要性
 日本シリーズの最中、10月21日に福岡ソフトバンクホークスは江川智晃外野手に対して来季の契約を結ばないことを通告した。これを受け、江川は現役引退を発表。2004年のドラフト1位指名で入団した江川のプロ15年間の通算成績は345試合で打率.235、26本塁打、99打点であった。正直、1位指名選手としては成功とは言い難い。

 江川本人は「やりきった感はある」と語っていて、その気持ちに嘘はないのだろう。だが、もし彼が選手層の厚いホークス以外のチームにいたら、もっと活躍できた可能性もある。入団5年目の09年、続く10年には二軍で打率3割前後、本塁打も2年続けて14本打っていたが、一軍での出場機会は2年間で計26試合のみ。13年は一軍の準レギュラーとして77試合で12本塁打と長打力を発揮したものの、その後は出場機会が減り、「二軍の帝王」にとどまった。
 
 もちろん、少ないチャンスであってもしっかり結果を出していればよかったのだ、と言われればそれまでだ。けれども、20代のうちに出場機会がもらえるチームに移れていたらどうだったろう。古くは大久保博元(西武→巨人)、最近では大田泰示(巨人→日本ハム)のように、20代後半になってからのトレードで活路が開かれ、レギュラーとして活躍できたかもしれない。

 実績のないマイナーリーガーでも年数が経てば自動的にFAとなるアメリカと違い、日本では一定の成績を残した選手でなければFA資格を得られない。そのため、一軍に定着できるほどの成績ではなく、かと言って自由契約にするほど見込みがないわけでもないという、言い方は悪いが中途半端なレベルの選手たちが「飼い殺し」になりやすい。江川はその典型で、他球団では堂林翔太(広島)や江越大賀(阪神)あたりも似たような状況にあると言えそうだ。
 
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