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プロ野球

<2019ベストヒット!>佐々木朗希は「大谷以上?」現役スカウトが見るドラフトNo.1投手の現在地

氏原英明

2019.12.31

大谷に続いて160kmの壁を突破した“令和の怪物”佐々木。中日の名スカウトは人類未到の球速の可能性にも言及する。 写真:徳原隆元、Getty Images

大谷に続いて160kmの壁を突破した“令和の怪物”佐々木。中日の名スカウトは人類未到の球速の可能性にも言及する。 写真:徳原隆元、Getty Images

 2019年の名珍場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返るこの企画。今回お届けするのは、ドラフト1位でロッテに指名された佐々木朗希のポテンシャルについてのレポートだ。果たして、現役のスカウトは高卒No.1投手をどうみていたのか?
記事初掲載:2019年10月16日

    ◆    ◆    ◆

 佐々木朗希は2019年、いろいろな意味で世間を騒がせた。
 
 今年の4月、大谷翔平(エンジェルス)が高校3年生春の時点で到達できなかった、160kmの壁を先に超えた。「160kmを超える前例があれば、またそこを目指す人が出てくる」と言った大谷が望んだ通り、佐々木は大谷に見事続いて見せた。しかしそれ以外にも、今年の夏の岩手県大会決勝戦の登板回避や、Uー18日本代表での血マメによる降板などのひ弱なイメージも、同時に世間にインパクトを与えた。

 その潜在能力があまりにも高いから、人々は注目し、また同時に物足りなさも感じるのだろう。佐々木自身、ハキハキとモノを言うタイプでもなく、どこか不思議な感じがするところが、彼の未知な魅力を増幅させるファクターになっているのかもしれない。

 プラス面とマイナス面が同居する佐々木の評価について、中日のチーフスカウト・米村明氏にぶつけてみると、例に漏れず、やはり彼のポテンシャルには「別格」の凄みを感じていると言う。

「大げさな表現じゃなく、170kmのストレートを投げる身体能力があると感じる。今の彼の姿を見ていると、胸板が薄いとか課題も見える。そういうところが補われると、今で163kmですから、将来的には170kmを投げられるんじゃないかな、という予測になるんですよ」
 
 米村氏が圧倒されたのは、今年の夏の甲子園の後に神宮球場で開催された、Uー18高校日本代表と大学日本代表の壮行試合でのことだ。

 佐々木は、世間の多くが注目するこの試合で先発マウンドに立った。血マメを作って1イニングのみでの降板となったが、米村はその際のある1シーンに度肝を抜かれたと言う。

「プレーボールの前に投球練習があるでしょ? その最後に投げた球をキャッチャーが捕球して二塁に送球するじゃないですか。あの時に、佐々木がストレートを力一杯にして投げたんですよ。ところが、それをキャッチャーが捕球ができずに、バックネットまで到達したんです。ちょっと高めやったけど、彼が本気で投げたら、全日本のキャッチャーでも捕球できない。『なんという球威なのか』と、あの1球で僕はそう思った。打者と勝負するんじゃなくて、キャッチャーが捕球できるかどうかという次元の球を投げている。そこまでの能力を持つピッチャーはなかなかいない」
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