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プロ野球

ポスト嶋の最右翼!積極補強を断行した楽天の「正捕手問題」は“ホリケン”が解決する

田口元義

2020.01.07

打撃など、クリアすべき課題は山積しているが、それでも堀内が現時点で正捕手に最も近い存在だ。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

打撃など、クリアすべき課題は山積しているが、それでも堀内が現時点で正捕手に最も近い存在だ。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

 今季の楽天で急務とされている改革のひとつが、正捕手の確立である。

 絶対的な扇の要だった嶋基宏がヤクルトに移籍したことにより、「ポスト嶋」を巡る競争がいよいよ激化する。

 捕手最年長の30歳で経験豊富な足立祐一に、再び捕手に挑戦する好打の岡島豪郎。パンチ力では山下斐紹に一日の長があり、昨季にルーキーながら55試合に出場した太田光もアピールに成功している。

 楽天の正捕手争いは横一線。その状況において、昨季、チームで最も多くマスクを被ったのが堀内謙伍だった。

 今年でプロ5年目の22歳。2018年に一軍デビューを飾り12試合に出場すると、昨季は65試合と飛躍的に経験値を増やした。

 数字だけで評すれば、「正捕手に最も近い男」。だが、本人にその自覚はまだない。
 
 堀内自身、若手として下からの突き上げの一端を担えている自負はある。だからといって、それが「ポスト嶋」とイコールかと言えばそうではない。

 昨年のことだ。彼は足元をしっかりと見つめながら話してくれたことがあった。

「自分の実力を認めてもらってスタメンとかで出してもらっているわけではなくて、嶋さんの次のキャッチャーを育てるために我慢して使ってもらっている立場だと思っています。そこは勘違いせずに頑張らないと」

 打率1割台の打撃など、クリアすべき課題は山積している。それでも、堀内が現時点で正捕手に最も近く、なおかつ、その資質をも秘めている理由がひとつある。

 自己主張をしっかりできることだ。

「名捕手」と呼ばれる選手の多くが、強烈な個性を持つ。

 例えば、ダイエー(現ソフトバンク)で常勝の礎を築いた城島健司もそうだった。彼の若手時代のコーチで「育ての親」として知られる若菜嘉晴が、教え子を引き合いに出し捕手の素養を講釈してくれたことがあった。

「キャッチャーのサインひとつでピッチャーの人生が変わり、チームの命運が左右される。だから、先輩だろうが自分より立場が上だろうが、言うべき時にしっかりものを言えないようじゃ捕手は務まりません。城島は性格的に強気ではありますけど、そのあたりがはっきりしていたから、徐々にピッチャーの信頼を勝ち取ることができたんです」

 実は、何人かのチームメートから「ホリケン(堀内の愛称)は結構、強気ですよ」と情報を得ていたこともあり、この城島の話題を本人に振ったことがあった。すると、堀内は「へぇ」と共感するように頷き、自らを客観視するようにこう答えた。

「『ここは!』と思った場面では、ピッチャーが首を振っても自分のリードを押し通したりすることもあります。けど、そういう時はベンチに戻ってきたり、試合が終わった後に、必ず『僕はこう思ったから』って考えを伝えますね。サインを出した状況によっては、『なんで、あそこで首を振ったんですか?』って僕から聞くこともありますし。あとはバッターの見え方とか、とにかく気づいたことを言ったり、聞いたりはたくさんしますね」
 

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