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MLB

新契約は800億円超間違いなし!? ヤンキース打線を牽引する若き強打者フアン・ソトの動向にニューヨーカー熱視線<SLUGGER>

杉浦大介

2024.06.24

オフのトレードでパドレスから加入したソト。ジャッジとの大砲コンビで強力ヤンキース打線を牽引している。(C)Getty Images

オフのトレードでパドレスから加入したソト。ジャッジとの大砲コンビで強力ヤンキース打線を牽引している。(C)Getty Images

「一年を通じてアップ&ダウンはあるものだ。簡単に運ぶなんて誰も思ってはいない。ワールドシリーズまで花束が敷き詰められた道を通るなんて誰も思っていない。戦い、負けを受け止め、忘れ、前に進み続けなければいけない」

【動画】フアン・ソト、9回表に起死回生の逆転2ランアーチを叩き込む!

 ファン・ソトがクラブハウスで表情も変えずに残したそんな言葉を聞き、頼もしさを感じたヤンキースファンは多かったことだろう。
 1対8でブレーブスに敗れた6月21日(現地)のゲーム後のこと。依然としてアメリカン・リーグ最高勝率を維持してはいるが、ヤンキースこの試合も含めて直近6試合で5敗。ソトのコメントは、少し嫌なムードが漂い始めたタイミングで出たものだった。


 確かに、シーズンはまだ半分以上も残っているのだから、慌てることも、一喜一憂する必要もない。特にナショナルズ時代の2019年にワールドチャンピオンを経験し、ヤンキース移籍1年目の今季も大活躍してきたソトの言葉には、確かな説得力があるように感じられた。

 25歳のスーパースターはここまでリーグ2位のOPS.994、同1位の出塁率.431を記録し、チームの快進撃を支えてきた。すぐ後を打ち、リーグ1位のOPS1.109をマークしているアーロン・ジャッジと超強力デュオを形成し、ともにMVP有力候補に挙げられている。

「ソトはメジャー最高レベルの打者であり、これくらいの働きは予期していた。どんな状況でも集中し、パワーと技術を兼ね備えて2ストライク後の粘り強さも備えている。メディアにも惑わされず、どんな環境でも自分らしくプレーできるという点でもニューヨークへの適性はパーフェクトだった。ヤンキースファンに愛されているのは理解できる」

 データ分析に定評があるMLB.comのデビッド・アドラー記者もソトのカリスマ性には魅せられているようで、絶賛を惜しまない。実際、ソトはチーム最高級の人気選手としての地位を早くも確立し、ドミニカン系が多く住むニューヨークの街に最高のハマり具合をみせた印象がある。

 上記通り、ここに来てやや負けが増えているとはいえ、ジャッジ、ソトが引っ張り、若手のアンソニー・ボルピー遊撃手が成長し、エースのゲリット・コールも復帰したヤンキースの視界は良好だ。夏が過ぎる頃には、2009年以来の世界一への前評判が高まってくることが予想される。
 そして、少し気が早いが、今季終了後にFAとなるソトの去就にも注目が集まっている。

「ソトが残りのキャリアをピンストライプのユニフォームを着て過ごすのを見たい。我々がソトを引き留めたいと考えているのは間違いない」

 5月中旬、YESネットワークのポッドキャストに出演したオーナーのハル・スタインブレナーの発言は、ニューヨークでは大きなニュースになった。

 スクープの多い『ニューヨーク・ポスト』紙の名物記者ジョン・ヘイマンも6月中旬、「ライバルチームのGMはヤンキースがソトと再契約すると考えている」という趣旨の記事を発信している。前述通り、ソトとヤンキースのフィットの良さを考慮するまでもなく、少なくとも現状では残留とみている関係者が多いのは事実に違いない。

 とはいえ、そう簡単に事が運ぶこともなさそうだ。ソトの代理人を務めるのはあのスコット・ボラス。1ドルでも高い契約を獲得することを目指し、選手にはFA市場に出ることを勧めることで知られる。すでに総額5億ドル、日本円にして800億円は間違いなく超えるだろうと言われるソトの新契約額は、FA市場に出てメッツ、フィリーズ、レッドソックスといった金満チームが争奪戦に参戦することでさらに値段が吊り上がる可能性も十分ある。そうなると、すでにいくつもの超大型契約を抱えるヤンキースの「許容範囲」を超えてしまうかもしれない。

 現時点で1つ確かなのは、今後もしばらくヤンキースの背番号22が台風の目になっていくということだ。ベースボールの楽しさを体現するスーパースターが活躍すればするほど、周囲からの注目度と新契約の値段は高まっていく。その先に、ニューヨークのスポーツシーンの注目が久々にヤンキースの動向に集中する波乱の日々がうっすらと見えてきているようでもある。

取材・文●杉浦大介

【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。

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