この試合だけで、ドジャースファンの寿命は半年ほど縮まったのではないか。文字通り最後の瞬間まで息詰まる展開が続いたドジャースとパドレスの地区シリーズ第1戦は、ドジャースが7対5で逆転勝ちを収めた。投手陣に不安を抱え、パドレス有利との声も少なくなかった中、ドジャースが先勝できた要因を考えてみよう。
【動画】打った瞬間!大谷の超豪快3ランでドジャー・スタジアムは興奮のるつぼに
▼1 嫌な空気を払拭した大谷の豪快同点アーチ
何と言っても大きいのは大谷翔平の活躍だ。0対3でリードされた2回、パドレス先発のディラン・シースから同点3ラン。高めの4シームを豪快にぶっ叩く姿は、3年前に初めて“リアル二刀流”で臨んだ同じくシースから放った一発と驚くほどよく似ていた。
1回表に先発の山本由伸がいきなり3点を献上。第1戦の初回に大量点を奪われ、そのまま最後まで流れを呼び込めずにダイヤモンドバックスに3連敗を喫した昨年の地区シリーズの悪夢が頭をよぎる展開だった。だが、大谷の一振りがそんな嫌な空気を払拭した。
初のポストシーズンで自分を見失ってしまうことも、試合間隔が空いたことでバットが冷え込んでしまうことも大谷には無縁。3回にはバットを折りながらもセンターに運ぶヒットも放ち、チームも逆転勝ちと、長年待ち侘びてきたポストシーズンの大舞台で最高のスタートを切った。
▼2 逆転を呼び込んだエドマンの技ありセーフティバント
パドレスが3回に再び勝ち越し。2点を追う4回裏、ドジャースは1死から8番のトミー・エドマンが技ありのセーフティバントで出塁する。この後、ミゲル・ロハス、大谷が連打で続き、2死満塁から4番のテオスカー・ヘルナンデスが2点タイムリーを放ってドジャースが逆転。結果的にこれが決勝点となった。
実は、エドマンはシーズン終盤から打撃不振に陥っていた。この日も、第1打席はシースの速球にまったくタイミングが合わず空振り三振。それならば......と、素早く切り替えたことが奏功した。俊足好守に加えて巧打も持ち味のエドマン。夏のトレードで加入したユーティリティが今日も渋い仕事で勝利に貢献した。 ▼3 強力パドレス打線を封じたブルペンの奮投
先発の山本は勝負どころで投げたボールがことごとく甘く入って痛打され、3回6安打5失点。デーブ・ロバーツ監督にとっては大誤算だったはずだが、後を継いだブルペン陣が好調パドレス打線を見事に封じた。
ライアン・ブレイジャーから始まり、アレックス・ベシア、エバン・フィリップス、マイケル・コーペック、ブレイク・トライネンの5投手が6回2安打無失点の好投。最後は2死一、二塁の一打同点のピンチでトライネンがスイーパーでマニー・マチャドを三振に仕留めた。このブルペンの頑張りが今日の勝利の最大の要因と言っても過言ではない。
▼4 コーペック交代を決断したロバーツ監督の勇気
そんな中、ドジャースが7対5でリードして迎えた8回に興味深い継投があった。この回から登板したクローザーのコーペックが2人を歩かせ、1死一、二塁のピンチを招いたところで、ロバーツ監督はあっさりコーペックをあきらめ、ベテランのトライネンを投入したのだ。
確かに、今日のコーペックは大荒れだった。とはいえ、本来は7月末のトレードで加入してから絶好調の豪腕に8、9回を任せるつもりでマウンドに送ったはず。それを思えば、このタイミングでの交代は早いようにも思えたが、この継投策が結果的に的中した。過去のポストシーズンでは、何度となく継投失敗を批判されてきたロバーツ監督だが、今日に関しては大胆かつ迅速な決断が勝利の要因となった。
もっとも、今日39球も投げたトライネンは、第2戦では使えないだろう。コーペックの復調はもちろんのこと、明日先発のジャック・フラハティには可能な限り長いイニングを投げてブルペンの負担を軽減してほしいところだ。
構成●SLUGGER編集部
【関連記事】過去10年でリーグ最高勝率同士のワールドシリーズは1回だがワイルドカード対決は2回...MLBのポストシーズンは“下克上”が当たり前<SLUGGER>
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▼1 嫌な空気を払拭した大谷の豪快同点アーチ
何と言っても大きいのは大谷翔平の活躍だ。0対3でリードされた2回、パドレス先発のディラン・シースから同点3ラン。高めの4シームを豪快にぶっ叩く姿は、3年前に初めて“リアル二刀流”で臨んだ同じくシースから放った一発と驚くほどよく似ていた。
1回表に先発の山本由伸がいきなり3点を献上。第1戦の初回に大量点を奪われ、そのまま最後まで流れを呼び込めずにダイヤモンドバックスに3連敗を喫した昨年の地区シリーズの悪夢が頭をよぎる展開だった。だが、大谷の一振りがそんな嫌な空気を払拭した。
初のポストシーズンで自分を見失ってしまうことも、試合間隔が空いたことでバットが冷え込んでしまうことも大谷には無縁。3回にはバットを折りながらもセンターに運ぶヒットも放ち、チームも逆転勝ちと、長年待ち侘びてきたポストシーズンの大舞台で最高のスタートを切った。
▼2 逆転を呼び込んだエドマンの技ありセーフティバント
パドレスが3回に再び勝ち越し。2点を追う4回裏、ドジャースは1死から8番のトミー・エドマンが技ありのセーフティバントで出塁する。この後、ミゲル・ロハス、大谷が連打で続き、2死満塁から4番のテオスカー・ヘルナンデスが2点タイムリーを放ってドジャースが逆転。結果的にこれが決勝点となった。
実は、エドマンはシーズン終盤から打撃不振に陥っていた。この日も、第1打席はシースの速球にまったくタイミングが合わず空振り三振。それならば......と、素早く切り替えたことが奏功した。俊足好守に加えて巧打も持ち味のエドマン。夏のトレードで加入したユーティリティが今日も渋い仕事で勝利に貢献した。 ▼3 強力パドレス打線を封じたブルペンの奮投
先発の山本は勝負どころで投げたボールがことごとく甘く入って痛打され、3回6安打5失点。デーブ・ロバーツ監督にとっては大誤算だったはずだが、後を継いだブルペン陣が好調パドレス打線を見事に封じた。
ライアン・ブレイジャーから始まり、アレックス・ベシア、エバン・フィリップス、マイケル・コーペック、ブレイク・トライネンの5投手が6回2安打無失点の好投。最後は2死一、二塁の一打同点のピンチでトライネンがスイーパーでマニー・マチャドを三振に仕留めた。このブルペンの頑張りが今日の勝利の最大の要因と言っても過言ではない。
▼4 コーペック交代を決断したロバーツ監督の勇気
そんな中、ドジャースが7対5でリードして迎えた8回に興味深い継投があった。この回から登板したクローザーのコーペックが2人を歩かせ、1死一、二塁のピンチを招いたところで、ロバーツ監督はあっさりコーペックをあきらめ、ベテランのトライネンを投入したのだ。
確かに、今日のコーペックは大荒れだった。とはいえ、本来は7月末のトレードで加入してから絶好調の豪腕に8、9回を任せるつもりでマウンドに送ったはず。それを思えば、このタイミングでの交代は早いようにも思えたが、この継投策が結果的に的中した。過去のポストシーズンでは、何度となく継投失敗を批判されてきたロバーツ監督だが、今日に関しては大胆かつ迅速な決断が勝利の要因となった。
もっとも、今日39球も投げたトライネンは、第2戦では使えないだろう。コーペックの復調はもちろんのこと、明日先発のジャック・フラハティには可能な限り長いイニングを投げてブルペンの負担を軽減してほしいところだ。
構成●SLUGGER編集部
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