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NBA

2012、13年ヒート連覇の立役者に。当代随一の頭脳派、シェーン・バティエの華麗なるキャリア【NBA名脇役列伝・後編】

出野哲也

2020.04.23

大学No.1プレーヤーとして鳴らしたバティエ。NBAでは卓越したバスケIQを武器に、優秀なロールプレーヤーという立場を確立した。(C)Getty Images

大学No.1プレーヤーとして鳴らしたバティエ。NBAでは卓越したバスケIQを武器に、優秀なロールプレーヤーという立場を確立した。(C)Getty Images

 素晴らしい才能や身体能力に恵まれていたわけではない。しかし、シェーン・バティエは真摯な姿勢と溢れんばかりの情熱、そして優れたバスケIQを最大の武器に、この世界を生き抜いてきた。ロケッツではT-MACやヤオ・ミンを、ヒートではレブロン・ジェームズらビッグ3を支えた、“ロールプレーヤーの鏡”の生き様に迫る。

 洋の東西を問わず、政治の世界で第2のキャリアを送る元アスリートは少なくない。NBAでも、ニューヨーク・ニックスのスター選手だったビル・ブラッドリーは民主党の上院議員となり、大統領候補にも名前の挙がった大物政治家になった。さらにデイブ・ビング(元デトロイト・ピストンズほか)はデトロイト市長を、ケビン・ジョンソン(元フェニックス・サンズほか)もサクラメント市長を務めた。

 名脇役として2012、13年のマイアミ・ヒートの2連覇に貢献したシェーン・バティエもまた、引退直後に民主党からミシガン州選出の上院議員の後継候補として立候補を打診された。結局その話は断ったが、知名度や人望の厚さを考えれば将来的に“バティエ議員”の姿を見られる日が来ないとも限らない。

   ◆   ◆   ◆
 
 もっとも、NBAのスカウトたちは将来の政治家を欲しがっているわけではない。彼らは学生時代の立派な実績よりも、素質や伸びしろを重視する。バティエがカレッジバスケ界で華々しい活躍をした割に、2001年のドラフトで6位指名(メンフィス・グリズリーズ)に甘んじたのはそれが理由だった。6位と聞けば悪くないように思えるかもしれないが、大学No.1選手が、1位のクワミ・ブラウンを筆頭とした3人の高校生より下位で指名されたとあっては、胸を張れるものではなかった。

 それでも1年目の成績は平均14.4点、5.4リバウンド、2.8アシストと上々で、チームメイトのパウ・ガソル(元レイカーズほか)とともにオールルーキー1stチームにも選ばれた。しかしながら、結果的にこの1年目の数字がすべてキャリアハイとなる。

 ルーキーイヤーは出場した全試合に先発で起用されたが、次第にベンチからの出番が増え、3年目には新加入のジェームズ・ポージーに押し出される格好で、完全なベンチ要員になってしまう。02年にGMに就任したジェリー・ウエストはあまりバティエを買っておらず、何度も彼をトレードに出そうと画策した。
 
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