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NBA

ニックスを破滅へと導く“狂人”ジェームズ・ドーラン。無能オーナーが起こした数々のトラブル伝説【NBA秘話|前編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.05.18

ニックスのプレーオフ進出が8年ぶりであるように、近年のチームは低迷が続いていた。その元凶となったのが、オーナーを務めるドーランだ。(C)Getty Images

ニックスのプレーオフ進出が8年ぶりであるように、近年のチームは低迷が続いていた。その元凶となったのが、オーナーを務めるドーランだ。(C)Getty Images

 ニューヨーク・ニックスが久々のプレーオフ進出を決めた。NBA屈指の古豪は昨季まで、実に7年連続プレーオフ不出場。これはフランチャイズ・ワーストタイという惨状だった。この事態を招いた張本人はリーグきっての無能オーナー、ジェームズ・ドーラン。ニックスをどん底に突き落とした“狂人”の愚行の数々を紹介しよう。

■ニックスを誰よりも愛する男がガーデンで遭遇したトラブル

 古ぼけて無機質な廊下の奥で、何やら揉め事が発生している。5、6人の集団に、関係者らしき別の人物も小走りで駆けつけ、どうやらのっぴきならない状況のようだ。その様子を、数メートル離れた場所から撮影したブレブレの映像が、『YouTube』にアップされている。
 
 突然、1人の男が大声で喚き出した。

「誰も俺に伝えなかった!(3回繰り返す)俺はここから動かないからな!もし俺をチャールズ・オークリーのように逮捕したいなら、やりやがれ!オークリーをやった時のように、俺を後ろ手にして縛るつもりか?!」

 声の主はスパイク・リー。場所はマディソンスクエア・ガーデン5階の従業員用出入り口エレベーターの前。2020年3月2日に開催された、ニックス対ヒューストン・ロケッツの試合前の出来事である。

 スパイクは映画監督兼プロデューサーとして、アメリカでは知らない人がいないほどの著名人だ。制作する映画のテーマは人種の問題が多く、たまに踏み込んだ発言をして議論の的になったりするものの、それよりニックス絡みで話題になることの方が多いかもしれない。ニックスのウルトラダイハードファンとして有名であり、世界一のニックスファンと言ってもいいだろう。

 10歳の時、父親に連れられて旧ガーデンに行き、ニックスの試合を初観戦。一発で虜になった。それからニックス一筋半世紀、1970年のファイナル第7戦、伝説の“ザ・ウィリス・リード・ゲーム”もガーデンで目撃したという。1985年のドラフトでニックスがパトリック・ユーイングを1位指名したその日の夜、徹夜でシーズンチケット購入の列に並んだそうだ。
 
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