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NBA

今季からNBAに初挑戦する「ナッシュの後継者」。遅咲きのケビン・パンゴスが歩んだ道

小川由紀子

2021.10.04

U16時代からカナダ代表として活躍したパンゴス。人柄も彼の魅力のひとつだという。(C)Getty Images

U16時代からカナダ代表として活躍したパンゴス。人柄も彼の魅力のひとつだという。(C)Getty Images

 今オフ、クリーブランド・キャバリアーズで「ケビン」の話題といえば、ケビン・ラブの去就についてだったが、もう一人のケビン、カナダ人ガードのケビン・パンゴスが、ヨーロッパでの6シーズンのプロ経験を引っさげ、今シーズンからNBAに初挑戦する。

 パンゴスは1993年生まれの28歳の“オールドルーキー”。カナダのトロント郊外の小さな町で育ち、少年時代は、国技ともいえるアイスホッケーはもちろん、バレーボール、サッカーなど、様々なスポーツに挑戦した。

 しかし彼が最も熱中したのは、両親も選手だったバスケットボール。他のスポーツは、冬はホッケー、夏はサッカー、というように季節に合わせてプレーしていたが、バスケだけは年間を通して常に続けていた。町から続く道路を一直線に下った場所にはトロント・ラプターズの本拠地があり、よく観戦に足を運んでいた。

 カナダのハイスクールを卒業したあとは、数あったNCAAのオファーの中から、ゴンザガ大に進学。八村塁(ワシントン・ウィザーズ)とはかぶらなかったが、3歳年下のドマンタス・サボニス(インディアナ・ペイサーズ)とは1年共闘している。

 カレッジ時代は同大学の3ポイント記録を更新するなど活躍したものの、2015年のNBAドラフトではどのチームからも指名されず、欧州でのプロキャリアを目指した。そうしてスペインACBリーグのグランカナリアに入団するのだが、振り返ればこの中堅クラブを海外でのプロデビューの場に選んだのは、彼の成長にとって大正解だった。
 
 ここで彼はすぐにスターティングガードを任されると、国内ではコパ・デル・レイ(国王杯)でクラブ史最高位の準優勝、ユーロリーグのアンダーカテゴリーにあたるユーロカップでもセミファイナル進出に貢献。

 ユーロカップでのスタッツが平均11.9得点、4.8アシストという数字は、平均2桁得点をあげるのが難しいヨーロッパのカップ戦において、ルーキーにとっては非常に高く評価できるものだった。

 その活躍を買われて、翌シーズン、リトアニアの名門ジャルギリス・カウナスに引き抜かれると、ここでも2年目の17-18シーズンには、優勝した1999年以来初のファイナルフォー進出という近年なかった好成績の実現に寄与した。
 
 次に所属したバルセロナでは、ケガでの長期離脱もあり思っていたほどの活躍は望めなかったが、昨シーズン、ロシアのゼニト・サンクトペテルブルクに移籍すると、あと一歩でファイナル4進出という、新興クラブにとって奇跡のようなシーズン実現の立役者となった。年間を通して得点、アシスト数でチームトップ、とりわけプレーオフでは平均16.2点、 7.2アシストと、パンゴスはまさにチームの中枢的存在だった。 
 

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