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NBA

コビー・ブライアントが最後まで貫いた“人を思いやる心”。事故当日にシャックの息子と一番の親友に送ったメッセージとは【NBA秘話|後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2022.02.18

2020年1月26日、ヘリコプター墜落事故で愛娘とともに帰らぬ人となったコビー。当日の朝、3人の仲間にメッセージを送っていた。(C)Getty images

2020年1月26日、ヘリコプター墜落事故で愛娘とともに帰らぬ人となったコビー。当日の朝、3人の仲間にメッセージを送っていた。(C)Getty images

 コビー・ブライアントがヘリコプター墜落事故でこの世を去ってから、早くも2年が過ぎた。

 今回は世界中のファンを魅了したこの悲劇のスーパースターの物語をお届けする。コビーは死の直前、3人のバスケットボールにまつわる友人とメッセージを交わしていたという。その内容には、コビー・ブライアントという人物の温かい人柄がにじみ出ていた。

※年齢および所属先は掲載当時のもの。

<シャリーフ・オニール>
■大学で苦闘するシャックの息子を気遣い送った1通のメッセージ


 事故当日の朝、コビーからメッセージを受け取った21歳年下の若者がいる。彼の名前はシャリーフ・オニール。そう、あのシャックの息子である。

 現在21歳のシャリーフは、身長208cmのカレッジ・バスケットボール選手。事故の4日前、2年間在学したUCLAからの転校を表明したばかりだった。1年時、心拍数に問題が認められ、心臓の手術を受けた。メディカル・レッドシャツとなり1年間プレーできず、2年目は13試合に出場したものの、平均出場時間10.2分、2.2点、2.9リバウンドと満足な結果を残せなかった。
 
 2020年1月26日午前8時19分、ヘリコプターが飛び立つ47分前、シャリーフのスマホにコビーからインスタグラムのダイレクトメッセージが届く。文面は“You good fam? ”(「元気?」「どうよ?」程度の意。famはスラングでfamilyの略。家族や家族同様の人、親友、仲間などを指す)。強豪大学を転校するという一大決心を下したシャリーフの、その後を心配していたのだろう。

 ちょうどその日はバタバタしていたこともあり、約2時間半後の10時58分、シャリーフは返信する。「ああ! 次の一歩を上手く進めるために、作業をしているところだよ。そっちは元気だった?」。

 だが、そのメッセージに返答が書き込まれることは永遠になかった。

 2000年代初頭、コビーとシャックはレイカーズで3連覇を成し遂げ、黄金時代を築いた。だが、2人の関係性は険悪の一途をたどり、最終的にシャックがチームを出ていく。それでもコビーが引退する数年前から雪解けが始まり、紆余曲折のあった2人の物語もハッピーエンドを迎えつつあった、そんな矢先の事故だった。
 
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