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NBA

「オーケストラが奏でるシンフォニーのよう」“ビューティフルバスケ”の生みの親、NBA屈指の名将の飽くなき探究心<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.03.17

30年近くスパーズを率い、チームを5度の優勝に導いたポポビッチHCは、多くの選手やコーチに影響を与えている。(C)Getty Images

30年近くスパーズを率い、チームを5度の優勝に導いたポポビッチHCは、多くの選手やコーチに影響を与えている。(C)Getty Images

 現地時間3月11日に行なわれたユタ・ジャズ戦に104-102で勝利したサンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)は、レギュラーシーズン通算1336勝という、歴代最多記録を達成した指揮官となった。

 NBAだけでなく、世界のバスケットボール界から絶大な尊敬を受ける偉大なる名将が、試合後のロッカールームで、シャンパンならぬ、ミネラルウォーターシャワーで選手たちから祝福されて喜ぶ姿は実に微笑ましかった。

 その偉業へのはなむけとして、彼にゆかりのある2人が、フランスの『レキップ』紙で、思い出を語っている。

 まずポポビッチHCの下で、2014年にNBAチャンピオンとなったボリス・ディーオウ、もう1人はフランス代表で2度、(19年のFIBAワールドカップ、21年の東京五輪グループリーグ初戦)、ポポビッチ率いるチームUSAを破っている現フランス代表監督のヴァンサン・コレだ。

 ディーオウは現在、現役最後にプレーしたフランスのメトロポリタン92の会長を務め、コレは同クラブの指揮官も兼任している。かつてフランス代表で師弟関係にあった2人は現在、会長とHCという間柄にあるのだ。
 
 コレが初めてポポビッチに会ったのは、2012年3月。当時シャーロット・ホーネッツでプレーしていたディーオウが、トニー・パーカー擁するスパーズと対戦した夜だった。コレは、フランス代表のスタッフとともに、2人の視察にサンアントニオを訪れていた。

 試合後、いつもパーカーとの食事の際に利用していたワインバーを訪れると、入り口でポポビッチが彼らを待っていた。そして、「ディーオウとパーカーについて、あなた方はよく知っている。ぜひお話を聞かせていただきたい」と、食事に誘ったという。

 バスケットボール談義に花を咲かせたその夜、ポポビッチはディーオウについて、フランス代表のスタッフ陣にいろいろと尋ねた。

 それから数日後、スパーズはディーオウと契約。コレは、フランスのバスケットボール史上最高の選手であるパーカーを、彼曰く「原石をダイヤモンドに磨き上げてくれたこと」においてポポビッチに借りがある、と語っている。

 そして彼は、フランス代表のプレースタイルにもスパーズのシステムをいくつか採用し、それは現在でも継続しているという。

「それらのシステムでは、選手たちが自分の立ち位置を見つけやすくなり、快適にプレーできるようになった。パーカーはより多く展開の策を見いだせるようになったし、ボリスも、ナンド・デ・コロもスパーズでプレーしていた。スパーズのバスケットボール観、家族的な雰囲気、共に戦う意志を植え付けることは、フランスのバスケットボールにも影響を与えてくれた」(コレ)
 
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