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NBA

祖国のために「全力を尽くして戦った」ウクライナ、初のベスト8入りのフィンランド【ユーロバスケット2022】<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.09.13

ウクライナはポーランドに惜敗しベスト8入りはならなかったが、主力のミハイルークは「この大会でプレーできたことを幸せに感じている」と振り返った。(C)Getty Iamges

ウクライナはポーランドに惜敗しベスト8入りはならなかったが、主力のミハイルークは「この大会でプレーできたことを幸せに感じている」と振り返った。(C)Getty Iamges

 ユーロバスケット2022はドイツのベルリンに場所を移して決勝トーナメントがスタート。ラウンド16の2日目、初戦はC組2位のウクライナとD組3位のポーランドが対戦した。

 ウクライナはギリシャ、ポーランドはセルビアと、グループ内の最強チームには敗れたものの、勝てる相手には取りこぼすことなく3勝2敗と、似たような勝ち上がり方をしてきた両者。よってこの試合も、1バスケットごとにずっしりと重みのある点の取り合いになった。

 86-88 と、ウクライナが2点を追う展開で突入した残り1分からの攻防戦は、見ている側まで緊張するほど緊迫感に満ちたものとなったが、最後はフリースローを着実に決めたポーランドが8点差で振り切った。

 ポーランド出身のNBA選手といえば、かつてフェニックス・サンズなどでプレーしたセンター、マーチン・ゴータットがいた。「ポリッシュ・ハンマー」の異名をとった彼は2020年に現役を引退。

 その後は同国からNBA選手は生まれていないが、ベスト8入りを果たした秘訣についてイゴール・ミリチッチHC(ヘッドコーチ) は「チームスピリッツは個人の力よりも大きいということを証明できた。オフェンスでも、ディフェンスでも、ロッカールームの中でも、常に全員が一丸となれるチーム力、それが自分たちの一番の強みだ」と雄弁に語った。

 ウクライナは惜しくもここで敗退となったが、国が厳しい状況にある中で参戦したこの大会での経験について、昨季トロント・ラプターズでプレーしたシヴィ・ミハイルークは次のように振り返った。
 
「今日の自分たちは良い手本にはならなかったかもしれないけれど、とにかく全力を尽くして戦った。その姿を見て、祖国の人々が少しでもハッピーになってくれていたら僕たちも幸せだ。

 現地から出られず、ここに来られなかったスタッフもいる。そんななか、自分や、チームのみんなはここに集まることができて、この大会でプレーできたことを幸せに感じている」

 ミハイルーク、サクラメント・キングスのビッグマン、アレックス・レン以外にも、2018年のドラフトでワシントン・ウィザーズから全体44位で指名を受けた22歳のガード、イスフ・シャノンら、若手が続々育っているウクライナのバスケットボールは、着実に進歩している。

 2戦目のフィンランド対クロアチア戦も、白熱のシーソーゲームとなった。両者は昨年11月と今年7月のワールドカップ予選でも対戦し、フィンランドが2勝しているが、今回も勝ち抜けたのはフィンランドだった。

 この試合で、ラウリー・マルッカネン(ユタ・ジャズ)は43得点をマークし、今大会で3人目(ヤニス・アテトクンボ、ルカ・ドンチッチ)となる40点超えを達成。同国にとって初の、欧州ベスト8入りの原動力になった。

 メジャー国際大会で、史上最も多くの得点をマークしたフィンランド人選手になったマルッカネンだが、「チームを助けるために自分は自分に求められていることをやっているだけ」と謙虚な回答。

 チームのベテラン勢よりも若い36歳のラッシ・ツオビHCは、「とにかく彼らは楽しそうにプレーしていて、こちらも見ていて楽しくてたまらない。それが一番だ。楽しいから終わらせたくなくて、こうして勝ち残った」と上昇気流に乗っているチームの雰囲気の良さを語った。

文●小川由紀子
 
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