プロ野球

好きな四字熟語は「焼肉定食」。伊藤裕季也は打てるセカンドとして、DeNAの救世主たるか?

小中翔太

2020.02.12

ウィンターリーグで新フォームを習得し、今季は1軍定着を目指す伊藤。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 昨季22歳のルーキーがDeNAファンのハートを鷲掴みにしたのは、8月10日の中日戦でのことだった。1軍デビューからわずか2日後、初スタメンに抜擢された伊藤裕季也は2打席連続本塁打を放つ活躍を見せたのだった。

 チームのサヨナラ勝ちを呼び込み、初めてのお立ち台では「伊藤裕季也です。好きな四字熟語は焼肉定食です」と自己紹介。歓喜に沸く横浜スタジアムで爆笑をさらった。さらに13、14日のヤクルト戦でもアーチを描いた。昨季放った本塁打は「4」だから、1週間弱の間に量産したことになる。

 伊藤の昨季は21試合、57打席と出場機会はまだそれほど多くないものの、打率.288、長打率.596、OPS.929は超一流の選手に匹敵し、右肩上がりの成長曲線はシーズン後も続いた。シーズンオフに参加した昨秋のウィンターリーグでは左足をガニ股気味にしやや開いて待つ構えに挑戦し、体の開きを少なくできる新フォームを習得した。

 今キャンプでは、その成果を感じていると伊藤はいう。

「ウィンターリーグで色々試し、いい感じで帰ってきてそこからまた色々と新しい発見があった。いろんな人に教わってフォームも変わってきています」
 
 彼の最大の魅力はもちろん長打力だが、昨季16試合でセカンドを守り61度の守備機会で無失策。右の代打要員にしておくのはもったいない。

 当然、伊藤にも志はある。

「1軍に出続けないと意味がない。少し出る人はチームにいっぱいいますけど、出続ける選手は少ないんで、それが目標です。その中で1本でも多くヒット、ホームラン打ちたいと思っています」。

 守備力が重視されるセンターラインの選手が高い打撃能力を発揮すればそれは他球団と比較した際のストロングポイントになる。打てるセカンドがチームにもたらすアドバンテージは大きい。

 昨季は4本塁打のうち、ヤクルト・高梨裕稔から放った一発は自身が最も手応えを感じた自慢の本塁打だ。アウトコースの球に対して自然に反応し、体を開かず打球をフェンスの向こう側まで運ぶ芸当だった。

 強さと巧さ、その両方を兼ね備えたスター候補が、筒香嘉智の抜けた打線の救世主となれるか注目だ。

取材・文●小中翔太

【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。

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