粋なサプライズだった。

　現地９月28日、ロサンゼルス・ドジャースは敵地でのシアトル・マリナーズ戦に６対１で勝利を収め、レギュラーシーズンを５連勝で締めくくった。今季で現役引退するクレイトン・カーショウが先発して今季11勝目。６回途中での降板時には盟友フレディ・フリーマンがマウンドに向かって労いの言葉をかけた。

　２点リードの３回、先頭の大谷翔平が右前打で出塁すると、１死から３番のフリーマンが追加点となる24号２ランを放ちカーショウを援護。５回に代打を送られ、途中交代した。

　一方、カーショウは直球とスライダー、カーブなど緩急をつけた投球でマリナーズ打線を翻弄。５回まで無失点ピッチングを続ける。

　球数が100球近くなり、６回無死で先頭のユジニオ・スアレスをスライダーで空振り三振を奪うと、ベテラン左腕はお役御免。投手交代でマウンドには、ドジャースを長年けん引した背番号５が登場した。フリーマンはカーショウとハグを交わすと、敵地ファンは総立ち。スタンドで見守っていたカーショウの家族も誇らしく拍手を送った。

　この感動的な場面には米放送局『Fox Sports』のアナリストを務めるベン・バーランダー氏も反応。「これは素晴らしい」と涙を流す絵文字を添え、自身のXにMLB公式サイトの動画を共有した。
  　デーブ・ロバーツ監督は試合後、フリーマンをマウンドに向かわせた理由を地元放送局『Sports Net LA』に明かした。

「クレイトンには最後にもう一度、ファンからの称賛を受ける機会を与えたいと思いました。彼のように、チームメイトやファンから尊敬される選手には特別な場面を用意したかった。マリナーズに失礼にならないよう配慮しながら、どう演出できるかを考えていました。私はフレディに『クレイトンからボールを受け取りに行ってくれ』とだけ言ったんだ」

「（Q.カーショウに伝えた言葉は何ですか？）彼への敬意をあらためて伝えたよ。素晴らしいキャリアを称え、どれだけ大切に思っているのか、私はいつもクレイトンのためになることをしようとしてきたし、彼も私やチームに対して同じようにしてくれたと伝えました。クレイトンのキャリアと、ドジャースに対する貢献を表現する言葉は見つからない。彼にとって本当に特別な瞬間だったね」

　カーショウは５回1/3を94球で投げて無失点、４安打１四球７奪三振でメジャー通算223勝目を挙げた。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】カーショウ最後の先発 盟友フリーマンがマウンドへ

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