チームをワールドシリーズの舞台へ導いたのは、「カナダの申し子」だった。
最終第7戦までもつれたアメリカン・リーグ優勝決定シリーズは、ブルージェイズがマリナーズを4対3で下し、32年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。
MVPに輝いたのは、主砲のブラディミール・ゲレーロJr. だ。
第2戦までは無安打でチームも連敗。しかし、敵地での第3戦で本塁打と二塁打2本を含む4打数4安打、準サイクルヒットの大暴れで勝利に貢献すると、その後も打棒は止まらなかった。シリーズ通算打率.385、3本塁打、OPS1.330。ポストシーズン全体でも11試合で打率.442、6本塁打、OPS1.440、今ポストシーズン出場全選手最多の12打点。驚異的なパフォーマンスで打線を牽引している。
「俺はここで生まれた」。第7戦終了後、ゲレーロJr.は語った。「ここ」というのはブルージェイズが位置するカナダのことだ。生まれは、同名の父が当時所属していたエクスポズが本拠を置いていたモントリオール。自身も2015年のプロ入り以来ずっとブルージェイズひと筋で、カナダへの思いは人一倍強い。「いつも言っているけど、俺の挑戦はワールドシリーズをカナダに持って帰ることだ」。メジャー7年目、4度目のポストシーズンでようやくその目標を叶えた。
19年に球界屈指のトップ・プロスペクトとしてメジャーデビューを果たし、21年には本塁打王を獲得。オールスター選出5度、シルバースラッガー2度、ゴールドグラブと、チームの顔として活躍を続けてきたゲレーロJr.だが、実は今季開幕時点では近い将来、トロントから去るとみられていた。
昨季、チームは失意の地区最下位。オフに入り、25年シーズン終了後にFAとなる主砲との契約延長交渉がにわかに注目を集めた。球団は何とかスーパースターを残留させようとするも交渉は難航。ゲレーロJr.がデッドラインに設定した今春のキャンプインまでに交渉はまとまらず、FA流出もしくはシーズン途中の放出が既定路線と思われていたのだ。
しかし、球団は“デッドライン”の後も粘り強く交渉を続け、4月に入って急転直下で延長契約がまとまった。総額5億ドルの14年契約はフアン・ソト(メッツ)、大谷翔平(ドジャース)に次ぐ史上3位の規模で、ゲレーロJr.はキャリアをカナダに捧げることになった。
この契約がチームにとってもターニングポイントとなった。5月下旬以降の快進撃で、下馬評を覆す地区優勝。昨季のリーグ覇者ヤンキースを撃破した地区シリーズ初戦で先制弾を放ち、チームに勢いをもたらしたのもゲレーロJr.だった。
ドジャースとのワールドシリーズでは、大谷との因縁もクローズアップされることになりそうだ。
21年には、本塁打王争いでシーズン最終戦まで壮絶なデッドヒートを繰り広げ、2本差でタイトルを勝ち取った一方、MVP投票では大谷に敗れた。ちなみにこの年、ゲレーロJr.は投手・大谷から豪快なホームランを放っている。
冒頭で紹介した発言からも分かるように、ゲレーロJr.自身、ワールドチャンピオンへの思いもかなり強い。22年のキャンプでは、1ゲーム差でポストシーズンを逃した前年を「予告編」と表現し、「これからが本編だ」と豪語した。それから3年越しに果たしたワールドシリーズ進出。父も果たせなかった世界一をトロント、そしてカナダにもたらすことはできるだろうか。
構成●SLUGGER編集部
【動画】「あと4勝だ!」ゲレーロJr.がリーグ優勝に思わず涙
最終第7戦までもつれたアメリカン・リーグ優勝決定シリーズは、ブルージェイズがマリナーズを4対3で下し、32年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。
MVPに輝いたのは、主砲のブラディミール・ゲレーロJr. だ。
第2戦までは無安打でチームも連敗。しかし、敵地での第3戦で本塁打と二塁打2本を含む4打数4安打、準サイクルヒットの大暴れで勝利に貢献すると、その後も打棒は止まらなかった。シリーズ通算打率.385、3本塁打、OPS1.330。ポストシーズン全体でも11試合で打率.442、6本塁打、OPS1.440、今ポストシーズン出場全選手最多の12打点。驚異的なパフォーマンスで打線を牽引している。
「俺はここで生まれた」。第7戦終了後、ゲレーロJr.は語った。「ここ」というのはブルージェイズが位置するカナダのことだ。生まれは、同名の父が当時所属していたエクスポズが本拠を置いていたモントリオール。自身も2015年のプロ入り以来ずっとブルージェイズひと筋で、カナダへの思いは人一倍強い。「いつも言っているけど、俺の挑戦はワールドシリーズをカナダに持って帰ることだ」。メジャー7年目、4度目のポストシーズンでようやくその目標を叶えた。
19年に球界屈指のトップ・プロスペクトとしてメジャーデビューを果たし、21年には本塁打王を獲得。オールスター選出5度、シルバースラッガー2度、ゴールドグラブと、チームの顔として活躍を続けてきたゲレーロJr.だが、実は今季開幕時点では近い将来、トロントから去るとみられていた。
昨季、チームは失意の地区最下位。オフに入り、25年シーズン終了後にFAとなる主砲との契約延長交渉がにわかに注目を集めた。球団は何とかスーパースターを残留させようとするも交渉は難航。ゲレーロJr.がデッドラインに設定した今春のキャンプインまでに交渉はまとまらず、FA流出もしくはシーズン途中の放出が既定路線と思われていたのだ。
しかし、球団は“デッドライン”の後も粘り強く交渉を続け、4月に入って急転直下で延長契約がまとまった。総額5億ドルの14年契約はフアン・ソト(メッツ)、大谷翔平(ドジャース)に次ぐ史上3位の規模で、ゲレーロJr.はキャリアをカナダに捧げることになった。
この契約がチームにとってもターニングポイントとなった。5月下旬以降の快進撃で、下馬評を覆す地区優勝。昨季のリーグ覇者ヤンキースを撃破した地区シリーズ初戦で先制弾を放ち、チームに勢いをもたらしたのもゲレーロJr.だった。
ドジャースとのワールドシリーズでは、大谷との因縁もクローズアップされることになりそうだ。
21年には、本塁打王争いでシーズン最終戦まで壮絶なデッドヒートを繰り広げ、2本差でタイトルを勝ち取った一方、MVP投票では大谷に敗れた。ちなみにこの年、ゲレーロJr.は投手・大谷から豪快なホームランを放っている。
冒頭で紹介した発言からも分かるように、ゲレーロJr.自身、ワールドチャンピオンへの思いもかなり強い。22年のキャンプでは、1ゲーム差でポストシーズンを逃した前年を「予告編」と表現し、「これからが本編だ」と豪語した。それから3年越しに果たしたワールドシリーズ進出。父も果たせなかった世界一をトロント、そしてカナダにもたらすことはできるだろうか。
構成●SLUGGER編集部
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