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MLB

MLBの美しき友情と師弟愛――プライスは“33番“を選択、ロスとヘイワードは再びカブスで…

宇根夏樹

2020.02.20

ロス(左)とヘイワード(右下)は今季、監督と選手として再合流。彼らのつながりは、10年以上前から紡がれていた。(C)Getty Images

ロス(左)とヘイワード(右下)は今季、監督と選手として再合流。彼らのつながりは、10年以上前から紡がれていた。(C)Getty Images

 今オフ、レッドソックスからドジャースへ移籍した2人のうち、ムーキー・ベッツの背番号はこれまでと同じ50だ。一方、デビッド・プライスは10から33となる。

 ベッツはメジャーデビューからレッドソックスの背番号50として6年プレーしてきたが、プライスはレイズ(08~14年)、タイガース(14年)、ブルージェイズ(15年)、レッドソックス(16~19年)の4球団で投げてきた。背番号は、最初の3球団がいずれも14。その前には、バンダービルト大でも14をつけていた。レッドソックスでは、16~18年が24。昨シーズンは10を背負った。

 プライスがレッドソックスで背番号24としたのは、14がジム・ライスの永久欠番だったためだ。10に変更した時は「前年に球団史上9度目のワールドチャンピオンになったのに続いて10度目をめざす」「レッドソックスが背番号24をドワイト・エバンス(1973~90年に使用)の永久欠番とする」などと憶測されたが、実際はそうではなく、プライスの息子ゼイビア(Xavier)のイニシャルにちなんだことが判明した。Xはローマ数字の10だ。

 ドジャースでは、背番号24がウォルター・オルストンの永久欠番で、10と14はそれぞれ、ジャスティン・ターナーとキーケー・ヘルナンデスが5年以上使っている。それもあったのだろう、プライスはかつてのチームメイト、ジェームズ・シールズを称えて背番号33とした。
 
 プライスとシールズは、08~12年にレイズで一緒だった。10~12年には、新旧のエースとして、2人揃って200イニング以上を投げた。年齢はシールズが4歳上。メジャーに初めて昇格した当時、プライスはフィールドの内外においてシールズの庇護を受け、どうすればいいのかを教わったという。

 プライスにとって、シールズはメンターだった。ドジャー・スタジアムで行われた入団会見で、プライスは「彼が僕にしてくれたことに、少しでも報いたいんだ」と語った。シールズはドジャースでは投げていないが、デビルレイズ/レイズだけでなく、パドレスとホワイトソックスでも背番号33を使用した。

 こうした関係は、プライスとシールズにとどまらない。また、必ずしも同じポジションでもない。例えば、今から10年前、ジェイソン・ヘイワード(カブス)がプロスペクトの外野手としてブレーブスからメジャーデビューした時、メンターの役割を果たしたのは、控え捕手のデビッド・ロスだった。

 この2人は後にカブスでもチームメイトになり、ロスがシーズン終了後の引退を表明していた16年は、ヘイワードが費用を負担し、遠征先のロスの客室をすべてスイートにグレードアップした。家族も一緒に過ごせるようにだ。ヘイワードはロスにそのことを知らせておらず、スタッフから聞いたロスは涙を流したという。この年のカブスは、ワールドシリーズで優勝。そして、今回の2019年オフ、ロスは監督としてカブスへ戻り、再びヘイワードと同じユニフォームに袖を通した。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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