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プロ野球

ヤクルト、投手陣再建の道は険し。期待の左腕・高橋が2回3四球2失点の乱調で結果を残せず

小中翔太

2020.02.20

楽天との練習試合は厳しい結果となったヤクルト・高橋だが、残りのキャンプでどう課題と向き合っていくか? 写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

楽天との練習試合は厳しい結果となったヤクルト・高橋だが、残りのキャンプでどう課題と向き合っていくか? 写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 ヤクルトは18日の練習試合(DeNA戦)で完封勝利をあげた。開幕投手を争う石川雅規と小川泰弘が試合を作り、終盤は勝利の方程式を担う石山泰稚、マクガフで締めた。6投手による見事な継投だった。            

 投手陣再建を目指す高津臣吾監督にとって収穫ある試合となったに違いない。ただ、この日登板した投手の多くは計算に入っている選手達だった。昨季からのプラスαを上積みしていくという意味では、若手投手の頑張りが必要不可欠だ。

 その期待の選手のうちの一人が昨季19試合に先発して4勝(6敗)をあげた高橋奎二だ。今季のローテーションの中心になる存在として期待されている。

 キャンプ序盤のブルペンで高橋のボールを受けた捕手の嶋基宏は言う。

「やっぱりヤクルトとしては高橋奎二に一本立ちしてほしいと思ってると思うし、それだけのポテンシャルはブルペンで受けて良い球を投げると思っていました」と期待を寄せていた。
 
 その高橋が19日、楽天との練習試合で先発マウンドに立った。

 立ち上がりは先頭打者に対して5球続けてストレート。まずは持ち味を生かし強気に押した。しかし、外角の変化球を見送られフルカウントになると、7球目のストレートをライト線に痛打され、いきなり無死3塁のピンチを背負う。その後、高橋は右打者のインコースを何度もストレートで突いていくが、わずかに外れ、変化球は制球が定まらなかった。結局、初回だけで3つの四球を与え球数は40球を要した。

 昨季はローテーションの一角を任されたものの、黒星が先行し防御率は5.76、投球回数は100イニングに満たなかった。それはつまり、平均すると5回を投げ切れていなかったということである。1イニングに何人走者を出したかを示すWHIPは1.59。1.2以下が優秀の目安。1.4以上では問題ありと言えるだろう。

 変化球でカウントを稼げないとなると頼れる球は1つしかないが、プロの打者は球種がわかればいとも簡単に長打を放つ。2回の先頭打者にはレフトスタンドへ一発を浴び、2回2安打3四球で2失点を喫した。失点は無死3塁からとソロ本塁打によるものであり、最少失点に凌いだという見方もできるが、満点アピールとはならなかった。

 試合は3回以降に投げた投手も四球を与える場面が目立ち、チームトータルで2桁失点を喫して大敗した。今季から指揮を執る高津監督はヤクルト黄金期を支えたクローザーで、投手陣の重要性は誰よりも理解している。

「ピッチャーを立て直すのが1番だと思っています。前に向かって1つでも勝つ、それ以外にありません」

 高津監督はそう語り、キャンプ初日からブルペンで多くの時間を過ごしてきた。投手事情が万全ではないだけに、高橋が計算できないとなると、やりくりは非常に苦しい。5年目左腕は残り1クールとなったキャンプでどう課題と向き合い、どのような状態で1ヶ月後に迫った開幕を迎えるのか。

 それはチームにとってバレンティンの穴をいかにして埋めるかに並ぶ最重要事項だ。

取材・文●小中翔太
【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。

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