トロント・ブルージェイズからFAになった41歳の右腕マックス・シャーザーの素顔についてチームメイトたちが証言する貴重映像が公開され、日本のMLBファンの間で反響を呼んでいる。

　ロサンゼルス・ドジャースのワールドシリーズ連覇で幕を閉じた2025年シーズンのMLB。激闘が繰り広げた今ポストシーズンで話題になったのが、不惑をとうに過ぎた右腕が指揮官にみせた鬼気迫る激情だった。

　現地10月16日、ア・リーグ優勝決定シリーズ第４戦でブルージェイズのシャーザーはシアトル・マリナーズ戦に先発し、５回2/3を３安打２失点に抑えポストシーズン自身６年ぶりの勝利投手を飾った。MLBファンの注目を集めたのはブルージェイズが５対１とリードした５回だった。２死一塁、１番のランディ・アロザレーナを迎えた場面でベンチから右腕の交代を告げようとマウンドに歩いてきたブルージェイズのジョン・シュナイダー監督に向かって、シャーザーは強くにらみつけ鬼のような形相で怒鳴りつけたのだ。

　途中降板を拒否したシャーザーは監督に向かって凄まじい剣幕で叫んで追い返し、そのままアロザレーナと対戦へ。強打者を見事に空振り三振に切って取り、このイニングを無失点で終えた。

　試合後の記者会見でシュナイダー監督は「殺されるかと思ったよ」と笑いながら、「最高の瞬間だった。マウンドに向かうと、シャーザーはオッドアイの両目でじっと俺を見たんだ。これは演技じゃない。彼はまさに異名通り『マッド・マックス』で、今夜もそれを証明してくれた」と、メジャー通算221勝右腕の力投を称えた。

　MLBの日本語公式アカウントはブルージェイズの選手らがベテラン右腕が登板する日の「暗黙ルール」について、レポーターに告白している。基本的にシャーザーの登板日は「絶対に話しかけるな」というルールがあるようで、シェーン・ビーバーは「ない」と即答。チームの顔であり、主砲のブラディミール・ゲレーロJr.は「話しかけるなんてない。だってマジで怖いんだ」と苦笑い。「投げ終わったら話しかけられるけど、マウンドにいる時は絶対にダメだ！」と周囲の笑いを誘っていた。

　ただ例外として、「ヘッドホンをつける前なら話しかけても構わない」と明かしたのは守護神のジェフ・ホフマン。「でも（ヘッドホンを）つけている時に話しかけようとしたら、殺されるだろうね」と補足することを忘れなかった。
  　マウンド上では同僚さえも近づきがたい鬼神オーラをまとっているシャーザー。現在はFAとなって来季の所属先がまだ未確定であるが、トロントのニュースメディア『citynews』によれば来季42歳を迎えるシャーザーは「やり残したことがある」と語り、ブルージェイズでキャリアを終えることを望んでいると報じられた。「クラブハウスがうまく機能していること、そしてチームとしてどれだけうまくプレーできるかを俺は知っている。2025年にあれだけの素晴らしい経験ができたんだ。来季もそれを実現したい」と語り、ブルージェイズでもう１年プレーすることを熱望している。

　メジャー通算18年のキャリアで７つの異なる球団を渡り歩き、４度の最多勝、３度のサイ・ヤング賞を受賞したマッド・マックスは、来季再びトロントのユニホームに袖を通す可能性はあるのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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