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大谷翔平の後払い契約、ロックアウトのスケープゴートに?「他球団のオーナーは報復として26-27年オフの一部、27年シーズンの一部を台無しにしようとしている」

THE DIGEST編集部

2025.11.18

労使協定の失効を1年後に控えたいま、大谷とドジャースが結んだ後払い契約が、注目を集めている。(C)Getty Images

労使協定の失効を1年後に控えたいま、大谷とドジャースが結んだ後払い契約が、注目を集めている。(C)Getty Images

 メジャーリーグ選手会とオーナー間で結ばれる現行の労使協定が、1年後の2026年12月1日に失効する。選手の年俸や契約、レギュレーションに関する包括的な取り決めを5年ごとに見直す労使協定に関して、大きな注目を集めているのがロサンゼルス・ドジャースと大谷翔平が結んだ巨額の後払い契約だ。

 大谷は23年12月にドジャースと、当時のメジャー最高額となる10年7億ドル(当時1015億円)で契約。年俸は毎年200万ドル(約3億円)で、残りの6800万ドル(約105億円)を契約満了後の後払いとし、それを10年間続ける(後払い総額は6億8000万円)前代未聞の契約内容だった(ぜいたく税計算上の年俸は4608万ドル=約71億円)。

 大谷とドジャースが結んだ特殊な契約が、次回の労使協定協議で焦点になるようだ。現地11月16日、ドジャース専門メディア『Dodgers Way』のカトリーナ・ステビンズ記者が、「ロックアウト前にドジャースが厳しい追及を受けるだろう」と報じた。

「大谷はドジャース入団後の2シーズンで、2度のワールドシリーズ制覇。MVPも連続で受賞した。そしてドジャースは25年、大谷に200万ドルしか支払っていない。そして、ドジャースメディアやファンは何度も言い続けなければいけない。後払いはどのチームも利用できる戦略だ。メジャー選手会も後払い制度を肯定している」

 後払いはルール上、何の問題もない行為。しかし、ドジャースの連覇を目の当たりにした他球団のオーナー陣が、次の労使協定でサラリーキャップ制度(チーム総年俸の上限を定めて戦力均衡を図る)の導入を目論むと予想されている。

 交渉が平行線をたどればオーナー側がロックアウト(労使交渉を有利に進めるために、選手への球団施設への立ち入り禁止や給料の支払いを停止する行為)を、選手会側もストライキ(争議行為として試合を放棄する行為)を決断する可能性があるというのだ。

「オーナー側と選手会の交渉は、厄介な争いになりそうだ。サラリーキャップを巡るストライキが最後に発生したのは1994年から95年にかけて。94年シーズンが短縮されてポストシーズンも中止となり、95年シーズンは開幕が遅れた(94年8月12日から25年4月2日まで)。そうなっては困るが、大谷の契約(そしてドジャースの他選手の後払い)が労使協定に影響を与えるのは確実だ」

 
 このように、ルール上問題ないとはいえ、連覇したドジャースのチーム作りに他球団オーナーから待ったがかかる可能性を示唆したステビンズ記者は、一方で大谷の契約に関するもうひとつのポイントを提示した。

「後払いによって、カリフォルニア州の所得税約9000万ドル(約139億円)を回避できる可能性があるという点だ。これは新たな懸念ではなく、大谷とドジャースの契約発表後から問題視されてきた。大谷がドジャースとの契約満了後にカリフォルニアを離れれば、カルフォルニア州の年率13.3%の課税を避けることができる。フロリダやネバダ、テネシー、テキサス、ワシントンなどに移住すれば、課税を受けずに済む。これは州政府、とくにカリフォルニア州、ニューヨーク州がほかの選手に真似させたい例ではない」

 また、米メディア『Sporting News』も『Dodgers Way』の報道を引用しながら、労使協定と大谷の契約に関する記事を公開。「Dodgers Wayのステビンズ記者は、ロックアウトが起こり、大谷がスケープゴートにされるのではないかと不安を抱いている」と伝えた。

「デーブ・ロバーツ監督がミルウォーキー・ブルワーズを破ってナ・リーグ優勝を果たした後、“ドジャースが野球を台無しにしている? あと4つ勝って野球を台無しにしようじゃないか”と発言したように、実際、大谷とドジャースが野球を台無しにしている。LA球団は年俸を抑え、他のトップ選手に資金を投じる方法を見つけ出した。大谷は契約上の税制規定に縛られない恩恵を受けている」

 こうした手法は他球団も利用できるものの、ドジャースほど積極的ではない。「野球を台無しにするというのはこういうことだ。そして今、他球団のオーナーたちは復讐として、26-27年オフの一部、そしておそらく27年レギュラーシーズンのスケジュールの一部を台無しにしようとしている」とし、他球団オーナーによるサラリーキャップ制度の導入とロックアウトの可能性に触れた。

 MLBのルール上、さらに米国の納税に関する内国歳入法にもかかわるなど、労使協定の失効を前にした現状、大谷とドジャースの契約がさまざまな意味で大きな注目を集めている。

構成●THE DIGEST編集部

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