チームの顔とも言える主戦捕手が去る。DeNAとソフトバンクとの間で行なわれた大型トレードは、プロ野球界に大きな衝撃をもたらした。
さまざまな思惑や複雑な感情が交錯する中でも、現場は立ち止まることができない。新天地へやってきた選手を戦力にする。その責任を、誰かに託されたわけではない。それでも小杉陽太コーチは、自らの中に「無言のミッション」を課した。
「尾形を先発ローテの軸にしていかなきゃいけない」
☆勝手に課した無言のミッション
「編成やフロントから直接何かを言われたわけではありません。ただ、やっぱりこのトレードってすごく重みがあるし、ファンの方も含めて与えるインパクトや印象も大きい。横浜の顔だった選手とのトレードで彼が来たという事実や、その期待値。そして当時、先発投手が足りていなかったチーム事情を踏まえても、『尾形を先発ローテの軸にしていかなきゃいけないんだ』という無言のメッセージを、僕は勝手に現場の身として、自分のミッションと受け取りました」
小杉陽太チーフ投手戦略・育成コーチの言葉には、並々ならぬ決意が滲む。
メジャーリーグのように主力とプロスペクトを巡る大型トレードが頻繁に行なわれ、球団が循環していく文化への理解を示しつつも、いざ自チームでそれが起きた。そこにはもちろん戸惑いもあった。しかし投手陣を預かる責任者として、結果でその正当性を証明しなければならない。
「ただ単に使い続けるわけではなくて、その中でもしっかり成果を出していく。トレードの重みを理解しているからこそ、来た尾形をしっかりとそういう投手にしていかなければいけない。それが僕の中で消化した思いであり、与えられた役割だと思っています」
☆二人三脚で挑んだ「先発転向」とデータによるアップデート
ソフトバンクで登板した90試合は、すべてリリーフ。先発としてローテーションを回るのはキャリア初の試みだった。小杉コーチは尾形の適性を見極めつつ、一度もローテーションから外すことなく、球数や登板間隔をコントロールしながら起用を続けてきた。
「先発に回るのが初めてだったので、トレーニング方法を変えてみたり、リカバリーや睡眠の質を見直したりしました。彼自身も東(克樹)にアドバイスを仰いだりと、色々と工夫を重ねてきました。抑えた時もあれば、うまくいかない時もありましたが、課題が出てくるたびに一緒に定量的なデータを使って常にアップデートを行なってきた。それが今、彼がプラスアルファを出せる投手になってきた要因だと思います」
移籍してから14登板は全て先発。初の経験ながらゲームメイク能力を発揮し、QSは6回を数える。勝ち星も5つマークし、直近は最長の8回途中まで投げるなど、周囲の期待に応えるピッチングを披露している。
指導を受ける尾形自身も、小杉コーチとの深い信頼関係と親和性を口にする。
「僕の思っていることと、小杉さんが思っていることの方向性が合っているんです。ただのピッチャーではなく“打者を制圧できる投手”になるために一緒にやっていっている感覚があります。試合中でもチャレンジするべきところでは、結果よりも優先しようって時もあります。どうしても目の前の勝利ばかりに目が行き過ぎると、本当に必要な課題や広い視野が見えなくなってしまう。もっといいピッチャーになるために必要なことはたくさん落ちているという部分を、小杉さんはいつも気づかせてくれるんです」
さまざまな思惑や複雑な感情が交錯する中でも、現場は立ち止まることができない。新天地へやってきた選手を戦力にする。その責任を、誰かに託されたわけではない。それでも小杉陽太コーチは、自らの中に「無言のミッション」を課した。
「尾形を先発ローテの軸にしていかなきゃいけない」
☆勝手に課した無言のミッション
「編成やフロントから直接何かを言われたわけではありません。ただ、やっぱりこのトレードってすごく重みがあるし、ファンの方も含めて与えるインパクトや印象も大きい。横浜の顔だった選手とのトレードで彼が来たという事実や、その期待値。そして当時、先発投手が足りていなかったチーム事情を踏まえても、『尾形を先発ローテの軸にしていかなきゃいけないんだ』という無言のメッセージを、僕は勝手に現場の身として、自分のミッションと受け取りました」
小杉陽太チーフ投手戦略・育成コーチの言葉には、並々ならぬ決意が滲む。
メジャーリーグのように主力とプロスペクトを巡る大型トレードが頻繁に行なわれ、球団が循環していく文化への理解を示しつつも、いざ自チームでそれが起きた。そこにはもちろん戸惑いもあった。しかし投手陣を預かる責任者として、結果でその正当性を証明しなければならない。
「ただ単に使い続けるわけではなくて、その中でもしっかり成果を出していく。トレードの重みを理解しているからこそ、来た尾形をしっかりとそういう投手にしていかなければいけない。それが僕の中で消化した思いであり、与えられた役割だと思っています」
☆二人三脚で挑んだ「先発転向」とデータによるアップデート
ソフトバンクで登板した90試合は、すべてリリーフ。先発としてローテーションを回るのはキャリア初の試みだった。小杉コーチは尾形の適性を見極めつつ、一度もローテーションから外すことなく、球数や登板間隔をコントロールしながら起用を続けてきた。
「先発に回るのが初めてだったので、トレーニング方法を変えてみたり、リカバリーや睡眠の質を見直したりしました。彼自身も東(克樹)にアドバイスを仰いだりと、色々と工夫を重ねてきました。抑えた時もあれば、うまくいかない時もありましたが、課題が出てくるたびに一緒に定量的なデータを使って常にアップデートを行なってきた。それが今、彼がプラスアルファを出せる投手になってきた要因だと思います」
移籍してから14登板は全て先発。初の経験ながらゲームメイク能力を発揮し、QSは6回を数える。勝ち星も5つマークし、直近は最長の8回途中まで投げるなど、周囲の期待に応えるピッチングを披露している。
指導を受ける尾形自身も、小杉コーチとの深い信頼関係と親和性を口にする。
「僕の思っていることと、小杉さんが思っていることの方向性が合っているんです。ただのピッチャーではなく“打者を制圧できる投手”になるために一緒にやっていっている感覚があります。試合中でもチャレンジするべきところでは、結果よりも優先しようって時もあります。どうしても目の前の勝利ばかりに目が行き過ぎると、本当に必要な課題や広い視野が見えなくなってしまう。もっといいピッチャーになるために必要なことはたくさん落ちているという部分を、小杉さんはいつも気づかせてくれるんです」




